名無し三等兵,sage,01/12/29 12:31, kkベストセラーズ 原 勝洋 著
「暗号はこうして解読された」
なかなかいい本です。日本海軍の暗号が解読されていく
過程を克明に調査しております。
ガナルカナルでイ-1潜から暗号書を回収されたのがイタイ。
最近暗号の新スレがないので、暗号について語りましょう。
マイナーなんで迷惑をかけないようにsage進行で。 ,祝!「暗号はこうして解読された」出版
名無し三等兵,sage,01/12/29 16:20, 2 ,
海の人,sage,01/12/29 19:40, >1
う〜ん、KKベストセラーという時点ですでにトんでも決定のような(笑)
そもそも海軍暗号(特にD)は開戦前にすでに解読されていて、新暗号についても
帝国陸海軍のあまりの進撃の早さのせいで暗号書表の更新が間に合わず、一時
的に新旧取り混ぜて使ったために解読資料を与えてしまい、短期間に解読されて
しまった(それでも、一部の地名略号などは解読されていなかった)というのが確認
されており、暗号関係では周知の事実となっておるのですが。
浅海面に沈んだ艦艇から暗号書表が回収されたという話は根強く語られるのですが
どれも憶測にすぎず、また上記のように開戦前から暗号についての解読は完了して
いた事情からも、そのような手間をかけるとは思えず、真剣に語る話があれば、それは
トんでもと判断して差し支えないと思います。 ,
1,,01/12/29 21:46, >>3
軍事初心者故、周知であったとは認識が足りませんでした。
暗号書引き上げに関しては、同本217ページに引き上げられた暗号書の
コピーが掲載されているのですが、はっきりと「海軍信号書(甲)」(もちろん
旧字体)と書かれ、伊号第一潜水艦と表紙にタイプされておりました。
内容は兎も角、原本のコピーがかなり掲載され、興味深かったです。
暗号に関しては陸軍の方がある意味進んでいますよね。乱数表の開始点の
秘匿などの面で。
いずれにせよ97式欧文印字機は、ドイツのエニグマよりも高度のような気がしますが
これを解読結果から作成したのは凄い事だと思いました。 ,
名無し三等兵,sage,01/12/29 22:11, >>4
>いずれにせよ97式欧文印字機は、ドイツのエニグマよりも高度の
>ような気がしますが
エニグマは456@`976通り(4枚ローター標準型の場合)
97式は11@`881@`376通りの暗号組み合わせが可能で、これだけ見ると
エニグマより高度に見えるのは無理もありません。
しかし実際には97式の方が解読はた易いです。
詳細は省きます。
また、日本語というのは暗号に向かない(同じ文字の出現頻度が極めて高い)
言葉でもあります。 ,
名無し三等兵,sage,01/12/29 22:25, 母音に関しては頻度が多いですね。
エニグマは換字式暗号故に暗号に数字がなく、
「10」ならドイツ語を知らないので英語に置き換えますが
TENとか打たなくてはならず、そこが解読の糸口だったらしいですね。
またAと入れたらAと出てくることは絶対ないことも弱点ですね。
話は変わりますが、日本陸軍は撤退する場合(ガナルカナルなど)、
現地司令部の面子を立てる為に、わざわざ大本営から軍使が出向いて
行ったりしたのが、結果的に暗号解読を防いでいた面白い事実もある。 ,
名無し三等兵,sage,01/12/29 22:39, >>4
ttp://www.mlb.co.jp/linux/science/genigma/
これなど参考にいかがでしょうか。
なお、97式は(素因数分解してみると判りますが)
原理的にはエニグマの歯車をもう一段増やしたものです。
実際には減ってるんですが…… ,
7,sage,01/12/29 22:56, 追記というか補足
>7で紹介した記事にはplugboard"&"entrywheelとありますが、
"or"の間違いだと思います。 ,
6,sage,01/12/29 23:33, ありがとうございます。
今月の私の履歴書で日本郵船の会長が戦後ヨーロッパに赴任していた事
暗号電報を使っていたとの話を読み、忘れていた暗号についての興味が
復活した次第です。
読まれた事と思いますが、文春文庫の「暗号攻防史」もエニグマの事が
書かれていて興味深かったです。 ,
名無し三等兵,,01/12/30 22:06, 定期あげ ,
名無し三等兵,,01/12/30 22:33, >>6
帝国陸軍の暗号は海軍と違ってほとんど解読できなかったと聞いたけど? ,
5インチFD,はぁはぁ,01/12/30 23:09, 日本の暗号でふと思うのが、元の文面が方言だったら?
という事です。日系二世とかにはばれるだろうけど・・・、
ほんと理解に苦しむ方言が日本にはまだ残ってるんだから ,
名無し三等兵,sage,01/12/30 23:35, 良スレ認定!
>>11 単にアメリカが陸軍を相手にしていなかっただけなのを
旧日本陸軍関係者は解読されなかったとえばってる。 ,
名無し三等兵,sage,01/12/30 23:47, >>13
せっかく良スレになろうとしているところへ、カビの生えた
「海軍優秀・陸軍無能」論を持ちこむな。 ,
名無し三等兵,,01/12/31 01:24, >>12
アメリカなどは、前線に少数言語を話すインディアンとかを無線兵として
使い傍受を防いでいた。聞いても分からないので。 ,
ニコフ47,sage,01/12/31 01:32, http://www2u.biglobe.ne.jp/~taro/angoukaidoku.html
7. 開戰直前、ワシントンの大使館と外務本省との間で「徳川君」とか「伊達君」とかの隱語を使って電話連絡がされてゐた事は周知の
通りです。
大戰中 ベルリンの大使館と霞ヶ關の間で「薩摩弁」を使った電話連絡がされてゐます。 ベルリンの大使館と本省の間では 通常 九七式
欧文印字機とかJ-19暗号(何れも米諜報部に破られてゐた。)とかを使って商業回線で流してゐたが この時期 しばしばmutilationを起
こし緊急時に使用不能の事態が起こる。 たまたま大使館には鹿児島出身の曽木隆輝書記官がをり、同じく鹿児島出身の外務省調査局
牧秀司事務官との間で会話されたと謂ふもの。案の定 米諜報部はこの会話を録音盤に採ったが判読不能。 自分たちが欧州戰線で
Indian言語を使ってゐる事から その類だと推測してアジア各国人に検証させたが意味不明。 最後に米本国に送り陸軍諜報部に勤務す
るサンフランシスコ生まれで 中学時代を父親の故郷鹿児島で過ごした日系二世に聴かせて薩摩弁である事が判明する。しかも声の主
が この二世氏のかっての恩人 曽木氏であると謂ふ数奇な劇的ドラマを 吉村昭が 独特の筆致で「深海の使者」の中で あつっぽく語っ
てゐます。 ,
名無し三等兵,sage,01/12/31 01:37, 「山河燃ゆ」でも使われてましたね。
開戦直前では、気象情報に混ぜてました。
北朝鮮からの放送で意味不明の番号が読まれているのは有名な話。 ,
名無し三等兵,,01/12/31 19:00, 補修あげ ,
名無し三等兵,,01/12/31 19:47, >17
まあそもそもあの国のやってること全体が意味不明だし(笑)。 ,
名無し三等兵,,01/12/31 19:54, ラジオの放送で乱数読み上げるなんてアホじゃないかと思ったけど、
本国と無線で交信すれば、この前の不審船のように探知されちゃう
訳だから、結構いいやり方だったのかも。 ,
海の人,sage,01/12/31 20:01, つうか、放送形式での情報伝達ってのは「放送系」として、どこの国でも軍事通信の
基幹の一つでっせ。
テレビジョンを見てれば判るように、部隊間通信の全てが双方向でなければならない
と言うわけではないので。
そんなわけで、きちんと暗号化されていて秘匿について考慮されているのであれば
北朝鮮が工作員に対して指示を出している方法は、別にヘンでもおかしな方法でも
ありません。
軍事の他の分野でもそうなのですが、特に暗号のような「知恵の比べ合い」の場合
バカげた国粋思想などに汚染された見方で、相手の国を必要以上に見くびることに
よって、相手を過小評価して結果として正しい脅威評価の見積もりなどを見誤ると
いうことは多々あります。
アホバカチョン式のバカげた話をするのであれば、暗号及び通信には口を出さない
方がよいのでは。 ,
名無し三等兵,sage,01/12/31 20:07, 秋の日の ヴィオロンの ためいきの
身にしみて ひたぶるに うら悲し ,
名無し三等兵,,01/12/31 20:15,
放送に混ぜて、よみあげるのは冷戦終結前のベルリンに
いったとき現地に住んでいた人がラジオできかせてく
れた。本人曰く、「ここにすむまではこんなこと小説や
映画だけだとおもっていたけど」だそうな。
> 21
全く、同感。生産的でない批判やたんなる嘲弄はそれを
行なうものを腐らせます。 ,
名無し三等兵,,02/01/01 02:58, >>22
ノルマンディ上陸作戦ですね。
〉〉21
そう考えると有線通信も捨てたもんじゃない。
線の維持とかで工兵が大変だが。
アメリカがビンラディンの演説の放映に異常に神経を尖らせているのも
暗号の観点から言えば、理解できる。コーランの引用でかなりのことを
伝えることができるし。 ,
名無し三等兵,,02/01/01 03:10, >そう考えると有線通信も捨てたもんじゃない。
そう言えばパルチザンの主要な任務の一つがドイツ軍の電話線の切断
だったねえ。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/01 16:22, 北朝鮮の暗号は日本側で解読したらしいが、報道されてしまったために、
複雑に変えられてしまう可能性もある。 ,
海の人,sage,02/01/01 21:11, >22-25
そこまであからさまでなくても、相手方に暗号表とか持たせる必要のない連想式の
隠語を伝達する手段としては、よく使われるようですね>ラジオ放送
無線というのは、電波の特性上届いてほしい方向の反対側にも飛んでいってしまう
、あるいは電離層や気象条件により不通になるおそれがあるので、実は伝送路保全上も
運用上も、かなり厄介な代物だったりします。
優先の場合、wire tappingにさえ注意していれば伝送情報は、ほぼ秘匿を保てますし
非常に安定した高速な通信が保証されるので、充分に隠蔽され保護された上でという
条件付きであれば理想的な通信路だと思います。
余談ですが、この「隠蔽され保護された上で」という部分にかかるコストを、回線を
網のように張り巡らせて(Network)網の一端が切れても迂回して進むことができる
のがInternet(TCP/IP)の特性であったりします。
>26
そうですね、早晩変えてくることが予想されます。
ただし、その場合暗号通信というのは、送信元だけではなく受信する方にも解読する
ための装備が必要となりますので、現在国内に浸透している工作員が所持している
暗号表などを全部更新したところで初めて新暗号に移行することができるように
なります。
また、その場合、これまでの暗号とは全く異なる解読手順・手続きが必要なものに
換装してしまうと、工作員の資質や生活条件などの場合によっては一部で解読が
できなくなって連絡が付かなくなるなどの事故も考えられるので、そんなに大きな
変更はなされないであろうと思います。
さらに、公安警察などでは、上記の新案号配布に伴う大規模な人とモノ(書表)の
動きを追跡して、これを機に工作員の網の全貌をとらえようとするたくらみがあっても
おかしくはないと思います。
なお、一番理想的なのは、先の大戦で帝国海軍がやむなくD暗号の新旧を併用した
ように、新旧を併用して使用してくれることです。
これによって、すでに解読済みの旧暗号を原資料とする新暗号の解読作業が非常に
ラクになりますので。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/01 21:21, なるほど。
工作員ネタとしては、60年代に旧ソのスパイがアメリカ内で多数捕まって
ますが、暗号表を処分できなくて捕まった例もあった。
乱数表に関しては、なんと手打ちで適当に連番されれ作成されたものであった。
しかし、タイピストの癖で続けた数が極端に少ない。(本当の乱数は
三桁なら222も629も頻度は同じはず)。このことが解読に有効に働いた。
山本五十六のブイン訪問が暗号で打たれたのが、乱数表を変える直前だった
という話もある。さすがに変えた直後は反復も少なくすぐには解読されないだろうし、
もしかしたら撃墜されなかったかも知れない。 ,
名無し三等兵,,02/01/02 01:40, 1945年9月16日
海軍の通信は全て平文になった。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/02 02:31, 北朝鮮はラジヲで平気で乱数流してますけど(一般人でも確実に暗号とわかる)
よほど繁茂に変えないとばれる気がするんですが?
それとも最新の暗号使ってるんでしょうかねぇ・・・
工作員が解読できなきゃ意味ないか(笑 ,
海の人,sage,02/01/02 16:51, >28
暗号表がまるまる相手にわたるという状況が最悪ですよね。
まともな暗号運用の場合であれば、当然常用の乱数表の他に、暗号非常時のための
非常用書表も備えているモノと思われますが、一網打尽にされると一体どれが相手の
手に渡ったモノやらさっぱり判らなくなってしまいますから。
当然身柄を拘束された当の本人から「xxは捨てました」などという報告なんか来るわけ
ありませんし。
>29さんのは、鋭い皮肉が込められていると思うんですが、ただ「平文」というと、少し
語弊があります。
上の方のレスから、ずっと「暗号書表」と「乱数表」を使い分けてきたのですが、この
ように現代の高度な手作業暗号は(機械暗号は、またシステムが別です)乱数表をかけ
たら、即原文というシステムにはなっていません。
帝国海軍の暗号に関しても、開戦前には乱数から抽出する部分までは解読が完了
していましたが、そこからまた「換字」や「略符号」の解読を行う必要があります。
ミッドウェーの「AF」にまつわる逸話は、この有名な事例ですね。
余談ではあるのですが、もともとはこちらの「換字」「略符号」が長らく「暗号」として
使われてきたのですが、あまりに普及してしまったこと、また原文の影響が現れやすいと
言う欠点を補うために、乱数によるもう一段の暗号化をかけたのが、現代もっとも一般的
に使われている手作業暗号作成方法となります。
そんなわけで、>30さんの疑問にあるようにラジオで暗号文を流しているために例え
傍受、解読作業がし易かったとしても、そこからもう一段階、これはまた別な書表を使う
ことになるのですが、何らかの略符号化や換字などを行う必要があるため、非常に困難
になっていることが考えられるわけです。
また、たぶんこれは海の人の想像なんですが、例の数字の羅列は、全てが暗号文では
ありません。
たとえば、これは文書などに残す必要のない、その日の月齢や、あるいはその工作員
の固有番号(そんなモノがあるかどうかはともかく)と同じ数だけ頭からダミーブロックを
かまして、それから後、何語とばしに解読・・・などという複雑な手順をとったりしている
ことが予想されます。
また、場合によっては上記の略符号化・換字化された文章を無作為の長さに切って
ランダムに順番を入れ替えて送信していることも考えられます。
およそ、ほんとにタヌキとキツネの化かし合いで、単に乱数から解読されたからと言って
全文を翻訳できないようなシステムを作り上げているのは間違いないと思います。
だからこそ、ここまで精緻を極めたシステムを全て一から構築し直さなければならない
ような、言ってみれば「暗号攻撃」のような事態が、どれだけ情報通信系に大ダメージを
与えるか理解してもらえると思います。
なお、海の人は電信ですので、海自暗号とは関係ありません:-p
ちょっと、しつこい紹介になっちゃってよそで読んでいる人は申し訳ありませんが
長田順行さんの「暗号」という本が、海の人のいい加減な説明よりも、もっと深くて
おもしろいですので、一度目を通してみられると良いかも。 ,
30,sage,02/01/03 02:25, なるほど、AFのような記号を使ってる可能性がありますね
前にテレビで亡命スパイらしき人物が乱数表といって
手のひらにのるような紙切れを見せていましたけど
>>28さんのような感じでした ,
名無し三等兵,,02/01/03 22:26, 定期あげ
地味な内容だけに ,
名無し三等兵,sage,02/01/04 22:08, 暗号スレッドの登場を歓迎してSage
>5 殿
>また、日本語というのは暗号に向かない(同じ文字の出現頻度が極めて高い)
>言葉でもあります
統計データの有る文献、サイトが有ればUPして頂きたいのですが
よろしくお願い致します。
>21 海の人 殿
>バカげた国粋思想などに汚染された見方で、相手の国を必要以上に見くびることに
>よって、相手を過小評価して結果として正しい脅威評価の見積もりなどを見誤ると
>いうことは多々あります
同意します。これについては長田 順行先生の名言がありますね。
「暗号の強度判定は経験的な科学だということである。暗号保全の破綻はみずから
考え出した方式とその運用法を、結局はみずから作った秤にかけて良しとするところから生じる。
いかにして、客観的で公正な秤をつくるか、それをどのようにして維持するか、
これは永久に続く暗号保全の宿命なのである」
<出典>
数理科学1986年8月号、特集 新しい暗号、サイエンス社
・「暗号の価値測定秤」長田 順行 から抜粋 ,
名無し三等兵,sage,02/01/05 01:23, やっぱり母音は相当多いですね。英語はEが多いですね。
それと「○○されたし」とかいう杓子定規的な文が多かったのかも知れない。
アメリカでは文の最後はわざと無意味な言葉を入れることになっていた。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/05 11:48, >35殿
レス有難うございます。
>アメリカでは文の最後はわざと無意味な言葉を入れることになっていた。
米陸海軍共にでしょうか?
「無意味な」とは具体的に規則があったのでしょうか?
それとも各暗号手まかせですか? ,
名無し三等兵,sage,02/01/05 15:57, 以下は対日戦で米英軍が解読を「試みた」日本軍暗号書、暗号機だそうです。
これが本当ならば陸海軍外務省、強度を問わず手当たり次第に攻撃されているようですね。
※表記方法:米英軍呼称/日本側名称/使用者/形式(大雑把です)
※日本側名称や運用、形式の裏づけが取れる方が居られましたら教えてください。
※元ネタの著者がオリジナルを把握できていない暗号も含まれています。
重複、誤解も有りえますので、眉に唾をつけてお読みください。
1:JN14/?/海軍/4数字コード+乱数表
沿岸航行艦艇(および一部の主要艦隊)の動向が判明。
JN 25(後述)と共に1942年9月頃には解読が拡大する。
1944年はJN147として大きく改良されるが、
マリアナのロタで孤立した守備隊がJN14を使用続けてしまう事で米英に利してしまった。
東京からは「2階級特進の人事通達」がJN14で送られたそうです。
2:JN147/?/海軍/5数字コード+乱数表
JN14の改良版。沿岸用として採用されたが、末期には巡洋艦でも使用された。
3:JN23/?/海軍/5数字コード+乱数表
海軍の新造艦船の動向(進水、完成日程)についての情報が得られる。
公試情報や寄港地も推定できたそうです。
3回の更新が確認され、1944年末に開始した暗号書は、
「焼け焦げながらも、何とか一部が読める」状態で捕獲されたそうです。
4:JN25/暗号書D、D1、呂、波/海軍/5数字コード+乱数表
ミッドウェー海戦や山本長官機撃墜に関わる連合艦隊用の主要暗号書。
※解読理論が現代教養文庫の「暗号」、長田 順行、社会思想社、
ISBN4-390-11134-5に載っています。
5:JN36&37/?/海軍/カナ文字のサイファー
気象通報用。1942年頃から解読がスタート。
6:JN40(俗称maruコード?)/暗号書S?/通商船舶/4カナ文字コード
商船隊のコースや被害状況が1942年頃から得られた。
電文のパターンがいつも同じなのが仇となる。
7:?/?/海軍/書籍利用コード
英軍側を散々悩ますが、日本商船を拿捕した際に「英語の聖書」を利用していた事が偶然判明する。
8:?/?/?/カナ綴字換字式サイファー
毎日換字表が更新されるも、パターンが見え見えなので容易に追随解読できた。
低級通信用とされるが、戦争末期には貴重な情報が得られたそうです。
9:CORAL/?/海軍武官/機械式暗号機
97式欧文印字機(米軍呼称PURPLE)の姉妹機。1943年4月に解読。
10:?/?/海軍武官(ベルリンのみ)/サイファー
CORALとは別個に使われていた。1944年3月に解読。詳細不明。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/05 15:58, <続き>
11:?/?/陸軍船舶/コード
詳細不明。1943年3月に解読開始する。
12:KAKAKA/?/陸軍/3数字コード+乱数
主にニューギニア戦線で大隊レベルが野戦用に使う。
1943年頃から解読開始。地域限定ながらも非常に役立った。
13:?/?/陸軍/4数字コード+乱数
1944年9月にニューギニア沖で沈没した船から暗号書が捕獲された。
1945年1月に更新されるが、孤立した守備隊は旧版を使い続けた。
14:Army address code/?/陸軍/4数字コード
宛先専用コード? 1944〜45年に解読
15:Army’s chief administrative code/?/陸軍/コード+暗号機?
詳細不明。1943年頃から解読開始、1944年に暗号書が捕獲されるが、
機械暗号で2次サイファー処理したとの事。存在自体がかなり怪しい?
16:JMA/武官用換字表?/武官/2字英字コード
1942年夏ごろから解読開始。44年3月と45年春に更新有り。
17:J19/?/領事館/コード+2次暗号化
中級領事館通信用。1941年8月にJ18と交代。
容易に解読できたが、PURPLEより作業優先度は低い
18:PURPLE/97式欧文印字機/大使館/機械式暗号機
真珠湾攻撃に関わる外務省主要暗号機。
※加藤 正隆先生(本名:釜賀 一夫)による解読理論が
別冊数理科学「暗号」、サイエンス社に掲載されています。
19:GEAM/?/大東亜共栄省?/換字+転置サイファー
当初は穀物輸送等の業務通信に用いられるが、
末期には政治、軍事的内容も配信された。
20:?/?/諜報者?/2+4英字コード
東京の外務省とカブール大使館の間で使用された。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/05 15:59, <続き>
21:?/?/海軍航空隊/2+4カナ文字コード
主に輸送機、偵察機と基地間の交信用。
1943年頃に解読、護衛状況や天候情報が得られた。
22:?/?/海軍/3数字コード
気象通報用。毎日の天気予報は米英の航空作戦担当者には貴重だった。
23:?/?/陸軍航空隊/コード
主要通信用で1944年春に解読される。詳細不明
24:ABC/?/陸軍航空隊/3数字コード+2次暗号化
低級通信用。天候や敵機情報を通報していた。容易に解読。
コード部分は海軍と類似していた?
25:BULBUL/?/陸軍航空隊/3数字コード+2次暗号化
ABCの後継版。1944年12月まで使用されていた時は解読可能だったが、
4数字コードに変更されると英軍もお手上げ状態になる。
BULBULからはビルマやタイに空輸される航空機の情報が得られたとか。
26:?/?/陸軍+陸軍航空隊?/4数字コード
1945年3〜6月頃に沖縄で捕獲される。詳細不明
サイゴン、シンガポール、満州等の多方面で使用される。
27:6633/航空隊暗号書3号?/陸軍航空隊/4数字コード+2次暗号化
主に飛行中隊以上で使用される高級通信用。ビルマ、ニューギニア、フィリピン方面での
日本軍動向が得られた。1942年半ばにソロモンで暗号書が捕獲され、全面解読される?
インパール作戦当時は英軍にとって貴重な情報源になった。
<出典>
“CODEBREAKERS IN THE FAR EAST”
Alan Stripp、Oxford University Press
ISBN0-19-285316-3 ,
名無し三等兵,sage,02/01/05 16:00, <所感>
理論解読と暗号書捕獲のどちらが先で、貢献が大きいのかは私自身も悩んでいます。
コードブック本体の捕獲は例え旧版であっても値千金でしょうが…
陸軍は「孤立した部隊に対して潜水艦で乱数表を補給した」との情報もありますが、
本当に全方面、全種類にフォローできたのか疑問です。
日本側の対照資料を切に希望しますが、殆どが焼却処分されたそうですね。無念です。
>1殿
ご紹介の本はまだ読んでいないのですが、暗号書の名称や形式が判りませんか?
よろしくお願い致します。 ,
海の人,sage,02/01/05 16:03, >37-39
うを、これはすばらしい。
原書から直接抜き書きされたんですね、本当にお疲れさまです。
どもありがとでした:-) ,
名無し三等兵,sage,02/01/05 18:07, 40の続きです。
>3
>暗号書引き上げに関しては、同本217ページに引き上げられた暗号書の
>コピーが掲載されているのですが、はっきりと「海軍信号書(甲)」(もちろん
>旧字体)と書かれ、伊号第一潜水艦と表紙にタイプされておりました
失礼、見落としていました。
さて「海軍信号書(甲)」というと、前出「暗号」のp345に以下の記載がありますね。
恐らく「海軍暗号書 甲」と同じかと思いますがどうでしょうか? それとも全く別物?
沈んだ詳しい位置と日付、コード、乱数(字)の形式が判れば助かります。
戦略常務用(開戦時)
・名称:使用目的/備考
・海軍暗号書 甲:高級司令部用/カタカナの乱字使用、使用量小
・海軍暗号書 辛:軍需補給用/使用量きわめて小
・海軍暗号書 D:一般用/乱数使用、使用量大 ,
1,sage,02/01/06 01:21, 色々とありがとうございます。
以下乱雑ですが、「暗号はこうして解読された」から暗号書関連の
記述を記入致します。 ,
1,sage,02/01/06 01:29, >36
陸軍は分かりませんが、海軍はそうでした。
聖書とかの言葉が多いようです。
面白い話では、レイテ沖で栗田艦隊が護衛空母を追いかけていた頃、
ハルゼーに援軍依頼の暗号が打たれたわけですが、その時はハルゼー艦隊は
小沢艦隊に引きづられる形で北方に入っており、護衛空母側でも正確な居場所が
分からなかったらしい。
文面の最後に「世界中の誰もが汝の居場所を知らんと欲す」とかいう内容が
つけた足されていたのですが、その時のハルゼー側の暗号士官が新米だった
らしく、いかにも意味ありげなこの文章もそのままハルゼーに渡してしまった。
ハルゼーは当然怒り狂ったそうです。
まあ、軍隊にありがちの酒のネタかもしれませんが、興味深い話ではあります。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/06 01:33, ……冬だ……冬休みだ…… ,
1,sage,02/01/06 01:42, ご存知の人も多いでしょうが、簡単な分類から
海軍には戦略常務用としてのカナ4文字の符号からなる海軍暗号書甲、
数字5字の符合からなる海軍暗号書D@`カナ4文字からなる軍需、補給用の
海軍暗号書辛があった。
戦術用としては、仮名、数字混用の連送符号と仮名4文字の説話符号からなる
海軍航空機用暗号書F、
数字、仮名混用の海軍部隊戦術用暗号書乙、海上部隊局地戦用の海軍暗号書戊、
シナ方面陸戦用の海軍暗号書己、航空通信雑用の小型暗号書C@`
一作戦毎に更新する換字式のシナ方面航空通信用暗号書H@`連合艦隊の戦術
用隠語書の連合艦隊特定暗号書A@`そして情報用の在欧米武官及び中央との
通信用暗号書J、在外諜者用のIC暗号書があった。 ,
1,sage,02/01/06 01:57, >>42
>さて「海軍信号書(甲)」というと、前出「暗号」のp345に以下の記載がありますね。
>恐らく「海軍暗号書 甲」と同じかと思いますがどうでしょうか? それとも全く別物?
>沈んだ詳しい位置と日付、コード、乱数(字)の形式が判れば助かります。
昭和18年当時、日本側で考えられた暗号事故は3件あった。
1:1942/12/9、ガナルカナル島カミンボ岬で待ち伏せで沈められた
イ-3潜水艦。戦略暗号波、戦術暗号乙、F、辛を搭載
2:1943/1/29、同じくカミンボ沖で撃沈されたイ-1潜水艦。
戦略暗号波、戦術暗号乙とFを搭載
3:1943/3/18、ラエでにイ-176潜水艦
イ-1に関してはアメリカ側で記録が残っているそうです。
アメリカ海軍は浅瀬に座礁して沈没したイ-1より2冊の仮名4文字暗号書、
1冊の別の潜水艦用暗号書、別の溶解式インクの潜水艦用と推定される2冊の
手引書、暗号書処置法と(削除)暗号書を回収した。
上記原文そのまま転記しました。(削除)はアメリカ側の機密保持のせいでしょうか? ,
1,sage,02/01/06 02:18, 更に続けます。
戦後米軍から返還された資料の中に、海軍省軍機第987号、昭和16年海軍信号書
(甲)其の一、二があった。
これが問題の伊号第一潜水艦とタイプされた暗号書ですが、作成年月日を写真から
判読すると昭和16年11月15日となっております。
海軍暗号書甲を潜水艦が積んでいたのか疑問もあります。
確かに巡潜型は戦隊司令部が座乗することもありますが、どうなんでしょうか?
(甲)は、2冊あるうちの発信用とかいう意味かなとか思ったります。
暗号に関しては初心者故、どの情報が誰もが知っているものか分かりませんので
イマイチ要点を得ない抜書きになったことをお詫びします。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/06 16:19, 1殿 深夜お疲れ様でした。今後ともよろしくお願いします。
>44
>陸軍は分かりませんが、海軍はそうでした。
>聖書とかの言葉が多いようです
聖書からだったとは知りませんでした。
実は米陸軍の古いテキストに「特に指示が無い限り、冗字や埋め草は禁止する」と
書いてあったの思い出してレスしました。
変な小細工をした結果、正当な受信者から「意味不明、再送信してくれ」と
返信される方を恐れたのだと推測しますが。
もっとも戦時中は米陸軍とてルール無視の自己勝手流暗号があったと私も思います。
>48
>海軍暗号書甲を潜水艦が積んでいたのか疑問もあります。
実は私もそこが気になっていました。
近所の本屋には置いてなかったので、詳細が判らないままコメントしますが
私も恐らく「海軍暗号書 甲」だと思います。
ただDに比べて通信量が少なかった甲からどれだけ価値ある情報を
米英軍側がもぎ取れたかが、次に重要なポイントだと思います。
その点は原著に何か書いてありましたでしょうか?
各位
古今東西の軍用暗号(諜報含む)の文献が有りましたら教えてください。
神田の古本屋を覗いても、この分野は意外と邦書が少ないので困っています。
同人誌とかは有るのでしょうか?
また暗号解読と隣接する交信解析や無線方位探知に詳しい方も参加して
下さると助かるのですが、よろしくお願いいたします。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/06 20:29, 内容的にD暗号系列の絞られているので同時に捕獲されたであろう「波」
については書かれてますが、「甲」への言及はないです。
追加では、「D」の乱数表第10号(昭和16年6月)もアメリカ公文書館に
所蔵されているそうです。 ,
名無し三等兵,,02/01/07 00:17, 1月も7日になり浮上あげ ,
名無し三等兵,,02/01/10 00:03, 阿川弘之も海軍で暗号解読に従事していた(中国軍のやつ) ,
名無し三等兵,sage,02/01/11 00:45, >52 殿
>阿川弘之も海軍で暗号解読に従事していた(中国軍のやつ)
阿川弘之氏の著書で暗号関係の本があるのでしょうか?
教えてください。 ,
名無し三等兵,,02/01/11 01:29, エッセーで書いてあったものの独立した本ではないのでは?
阿川氏曰く、英語の得意な予備学生を集めたが、語学より数学の
才能のある人を集めた方が良かったのではと言ってました。
中国の暗号に関してはかなり解読できていたらしく、重慶あたりから
欧米の武官に対して情報を取るように催促したものの、「貴国の暗号は
解読されている恐れあり」と情報提供を断られていた内容の暗号電が
あったと述べてました。
光人社文庫で、「暗号を解読した男達」あの軍事小説家の檜山氏
ドキュメンタリーとして陸軍の暗号解読について書いてます。
20年にはある程度解読したものの、すでに遅しでした。
シンガポールで入手したIBMの計算機などを仕様し、東大京大の
先生にも協力を依頼してました。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/11 06:55, >54 殿
有難うございます。 ,
名無し三等兵,,02/01/11 20:30, あの有名な「全世界は知らんと欲す」(the wolrd wonders)も冗字のたぐいですね。 ,
名無し三等兵,sage,02/01/11 23:45, 55の続きです
>光人社文庫で、「暗号を解読した男達」あの軍事小説家の檜山氏
>ドキュメンタリーとして陸軍の暗号解読について書いてます。
私も読みました。ラストシーンでの中野良次少将の呟き、
「良かった。本当に良かった。俺達の暗号は、本当に解読されていなかったのだなあ」
には思わず泣いてしまった。
でも解読された船舶用暗号により、陸軍の兵隊や補給物資を積んだ船を沈められ、
気象・航空隊用暗号解読により、米英軍が制空権を確保し易くなった可能性を考えると
後で鬱になった。
ところで話は変わりますが、皆様が初めて暗号に関心を持たれたのは、
どの様な経緯からでしょうか?
私の場合は大学生のときに「パズル・パレス」を読んで、
この世界に興味を持ちました。 ,
名無し三等兵,,02/01/14 04:25, age........................ ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:11, スレ保全 兼 ネタ出し
(WW IIよりも暗号レベルがずっと低いWW Iの西部戦線ネタで申し訳ありません。
WW IIや現在の方が盛り上がるのは承知していますが、
理論も史実も私の頭が追いついていけないので…
なお1殿の仰るとおり「sage」で進行させますのでよろしく)
「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その1)
発:K.Wigram准将(英陸軍・第3軍団)
宛:参謀スタッフ
日付:1917年4月30日
1.無線通信用のPlayfair Cipherは敵に解読されているとの通知が来た。
2.Field Cipherで速やかに運用するべく、無線部隊を訓練する事。
なお開始日程は各軍団で決める。
3.塹壕無線で用いるCipher Code Wordは各軍で毎日変更する事。
暗号化、復号化は無線担当者に作業させるように。
4.GHQと各軍団、騎兵部隊の無線通信には引き続きPlayfair Cipherを
使用しても良い。但し5月15日からはField Cipherで運用とする。
5.「Field Cipher運用教程」を20部、別途送付する。
以上
(Field Cipherの規約をご存知の方、教えてください) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:12, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その2)
発:参謀准将(オーストリア軍)
日付:1918年1月6日
題:参謀本部回覧No.2‐cipherとcodeの運用について
1.Cipher
cipherシステムにはPlayfair Cipher とField Cipherがある。
(1) Playfairは無線、Buzzer通信を除いて、各軍団で広範囲に使われている。
暗号化と復号化はcode wordを決定する各部隊の担当者のみが実行する事。
Playfair Cipherの使用方法は士官用野戦ポケットブックに記載されている。
code wordの編纂は陸軍司令部の情報部門が都度行う。
(2) Field Cipherは直属上官の署名入りで「平文で送れ」と
特に指示された場合を除き、無線通信で使用されている。
暗号化と復号化は訓練を受けた無線担当者が担当する。
担当者が訓練済みであればField CipherはBuzzerによる通信にも使用される。
code wordは師団の通信部隊が毎日決定している。
(当時のBuzzer運用方法について詳しい方、教えてください)
2.Code
(1)B.A.B Codeは最前線から3@`000ヤード以内で発信される全ての
無線に使用されている。
但し砲兵部隊の着弾観測報告については、現場指揮官の責任において
平文通信が許可されている。
B.A.B Codeの暗号化と復号化は各部隊の専任スタッフが行い、
決して送信担当者には処理させてはいけない。
(2)F.U.P. codeは編纂者から特に指示されたスタッフのみに限り使用される。
3.Position Calls@` Station Code Calls@` Code Namesの使用法は
1917年11月19日付けの回覧No106に記載されている。
以上
(注:F.U.P.とは文字通りFormation@` Unit@` Placeをcode化する物だそうです。
WW2や現在では着弾観測報告はスクランブル無線通話なのでしょうか?) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:13, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その3)
発:W.E. Newbigging 大佐(英陸軍・第3軍団)
日付:1918年4月30日
最近2回続けてcipherのkeywordが敵方に掠め取られる事故が発生した。
暗号文に続けて平文も一緒に無線送信したのが原因である。
全ての通信部隊に遵守させよ、
無線送信担当者の手元に暗号文と平文をセットで置かない事。
以上
(戦時中は「そんなあほな!」と思う事が本当に有ったようですね) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:14, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その4)
発:英陸軍・第3軍団
題:1918年7月度、第3軍団付近の無線通信状況について
1.7月15日の週に無線局間で交わされたMessage Trafficを
添付資料に示す(資料は省略)
2.この週における通信状況を以下に示す。
(a)IV Corps:通信量が減ってきている。11〜15日に送信した局は僅かである。
(b)V Corps:週を通じて減少している。Right Divisional Sectorは通常以下である。
(c)VI Corps:全般に通常のレベルである。Right Divisional Sectorが急に活発になったが、
これは14@`15日に行われたAYETTE作戦の為であろう。
3.これらの交信解析から各部隊の活動状況が読み取れる。
特に勧告したいのは師団が撤退や交代する際に通信量を通常レベルに維持する事である。
以上
(過去ログの「暗号について」で、海の人 殿が
>COMINTはプロじゃないのですが、たまに部隊行動でCOMINTなどしていると、
>電報や交話の統計をとるだけで、おもしろいように(本当に手に取るように)
>対抗部隊の配備・行動状況が把握できます。
と貴重なコメントをされていましたが、どの様な統計手法をとられるのでしょうか。
防秘に触れないよう例え話で構いませんので、ぜひご講義を頂けませんか?) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:15, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その5)
発:情報部大佐(英陸軍G.H.Q. 2nd Echelon)
日付:1918年9月17日
数週間にわたり、各軍団の保安担当者と面談してきたが、
彼らは異口同音に暗号保全の指導で困っているとの事だった。
すなわち暗号通信を行う際に、我々がドイツのcodeを解読している
事実に触れないよう配慮する事である。
そのデリケートな技術に不慣れな人間により危険を招く恐れがある。
よって各担当者に対して草案の手本を教える事を提案する。
特にドイツから捕獲した文書の存在を彼らが知る前に教化を済ませたい。
Stevenson大尉の話によると最近は大量のドイツ軍文書が捕獲できて翻訳中だとの事。
今回の作業のためにこれらの資料を急ぎ提供して欲しい。
以上
(暗号戦争の意外な敵は味方だった。 他国の軍隊はどうだったのでしょうか?) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:16, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その6‐a)
発:英陸軍G.H.Q. 情報部
日付:1918年10月5日
題:codeとcipherについての考察
1.総論
我々の経験によれば、完全な「Fool-proof」暗号は有り得ないと言う事だ。
暗号経験の乏しい大多数の人間が扱う野戦用の暗号はなおさらのことである。
ドイツ側の暗号通信を眺めていると、新しいシステムが導入された直後に
かなりの運用ミスが発生している。
彼らがThree Number Code(独:Schlusselheft)を導入した際には、
secrets grids( Geheimklappe)で2次暗号化するenciphered codeであるにも関わらず、
codeで1次暗号化しただけで送信したケースが多く見られた。
結局この3数字codeはあっけなく破られる(※)。
この暗号化における規律の乱れは、我軍側にも見られるのだ。
以下に暗号化における有りがちなミスの実例を挙げる。
※補足:Schlusselheftは最前線から3km以内でのみ使用された塹壕戦用code。
本来ならば各師団別に毎日Geheimklappeを更新することで強度を高めるはずだった。
このシステムの導入初日にはThree Number Codeで1回送信した内容を、
既に解読されていたThree Letter Code(Satzbuch)で再送信した極め付けのミスがあった。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:17, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その6‐b)
<Cipher編>
2.暗号化時のミス
不注意に暗号化されて受信局が復号できないメッセージが後を絶たない。
新システム導入時は尚更である。
この場合受信局に請われて再送信する事になるが、この際に事故が生じる。
例えば新しいkeywordで暗号化・送信したが、受信側には未だkeywordが
配布されていない場合は「古いkeywordで再送してくれ」と返信される。
Field Cipher Key Squareの導入時にこの事故が発生し、Key Squareを
新旧共に送信してドイツ側に新システムが暴露された。
全ての担当者は、暗号文を通信手に渡す「前」に自分で復号してみるべきである。
止む無く再送信するときは、原文を完全に言い換える(パラフレーズ)する事。
3.”Address to”、”Address from”の暗号化
宛先をcipherで暗号化した通信文を1、2回見かけたが、
可能な限りcodeを使用する事。
やむを得ずcipherで実施する時は本文中に「埋め込む」こと ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:18, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その6‐c)
4.署名
ドイツ側cipherを解読する際の最大の救いは、彼らが署名を文末に集中して
暗号化している事である。
同様な事が”All Companies”@`” All Stations”等の呼びかけにも当てはまる。
我軍にも不要な署名が有るケースを見かけたが、どうしても署名が必要な場合は
可能な限り変化させる事。
ある日が”Captain Smith”ならば、翌日は“O. C.@` D.Coy”といった具合にだ。
5.定例暗号文への返信
ドイツのcode解読の初期段階には、彼らが頻繁に「今何時か?」と定例暗号文で尋ね、
相手がcodeで時刻を答える癖がとても役立った。
同じ事が我々の通信にも当てはまる。
定例暗号文は長い間使用し続けると、相手に意味がバレバレとなる。
6.暗号通信に平文で回答
通信文の中には、送信から数分後に”YES”@` “NO”で返答が平文で帰ってくる
ケースが多いのだが、暗号文と平文を混ぜて送信するのと同様に危険である。
どんなに短くても、cipherやcodeでの問い掛けに平文で返信してはいけない。
同様にもし平文で問い掛けられたら、暗号では答えない事。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:20, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その6‐d)
7.冗字の使用
冗字の正しい使用法をはっきり理解している暗号手は少ない。
冗字は敵に見つからないよう使用する物であって、
敵に冗字も一緒に解読資料として提供する為では無い。
正しく使わなければ何の役にも立たないのだ。
我が方のcipherでは使用頻度の低いアルファベットが
決まって冗字に選ばれているが、これでは逆効果である。
さらに文字数を5の倍数にするために冗字を用いずに、
”stop”@`”end”@`”ends”@`”AAA”@`”finish”等を使用しているのを見かけるが、
これらの慣習は禁止されている。
8.AAAの暗号化
AAAを暗号化するケースも非常に多いが、これも禁止されている。
9.略語
略語の使用が望ましい。その理由は、
(a)暗号文が短くなる。
(b)反復文字の多い単語の使用が避けられる。
例えば”visibility”には”i”が4回反復している。
他方、略語の使い過ぎにも注意すべきである。
相手に誤解を与えたり、略語無しで再送信する羽目に陥るからだ。
(AAAにはどの様な意味があるのでしょうか。無線機のチューニング用?呼び鈴?) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:21, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その6‐e)
<Code編>
10.4年間もcipherで暗号化してきた人間がいきなり
code担当になれば間違いなく大混乱に陥るだろう。
この移行期簡に有りがちな誤りを幾つか取り上げる。
11.スペリング(分かち書き)
cipherに慣れた者にとって、単語毎に相当するcode wordを探すのは
かなり面倒くさいと感じるようだ。
code bookに単文字がアルファベット順に印刷してある事も手伝い、
彼らは何でも単文字ごとに分かち書きする傾向がある。
codeが単文字換字式cipherに変わり果ててしまうのを、
何としても阻止する必要がある。
12.Alternative Code Groupsの使用法
高頻度の単語やスペルには複数の候補、Alternative Groupsが
codebookに印刷されているが、これらは均等に使用すべきである。
以下にドイツ軍側の悪い見本を示すと、
(a)彼らには発音しやすい(覚えやすい)codeを好む癖が有る。
例えばVJQよりもBAGを採用しがちである。
(b)ある暗号区では印刷してある1番目か2番目のcodeだけを
採用している者がいた。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:22, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その6‐f/完)
13.Dummy groups
ダミーのcode(Null code)も適切に採用すべきである。
うまく使えば敵を困惑させるが、誤れば敵に利するだけだ。
良くある誤解が「ダミーを多く使うほど効果が多い」である。
ドイツ側の暗号手の中には、手抜きして杓子定規にDummy groupsを
文頭に5つ、文末に5つと採用した例もあった。
14.定型の文章
紋切り型の文章はcode化しても特徴が残りやすい。
解読されやすいのでこれを避けるべし。
15.数表
敵が数詞を意味するcodeを見つけるのに、数表ほど便利なものは無い。
我々はこれに対抗すべく数表専用のcodeを準備している。
"casualties(死傷者) "の様に数詞が連接しやすいcode wordも
敵に足がかりを与えやすい。
16.Punctuation(句読点)
句読点のcode wordは誤解が生じないために絶対必要な場合を除いて、
採用しない事。特に疑問符は要注意である。
ドイツ側が句読点を好んで使う事を我々は感謝している。
17.無意味なメッセージ
時には特定の地点で無意味なメッセージを流す必要がある。
でたらめなcode wordをつないで、偽の交信を行うわけだが、
敵に解読されている場合は無意味である。
ドイツ側の手口には3つのタイプが観られる。
(a)文章に意味は有るが詩や歌謡曲、諺から引用したタイプ。
これは不必要に単語を分かち書きする事から、容易に解読されるのだ。
"Got you@` Steve?"@` "Estaminet beor no bon"等は非常に危険な例である。
(b)code bookのあるページからcodeを丸まるコピーしたタイプ。
当初はこれに手を焼いたが、やり口が判明すれば大きな収穫が得られた。
(c)でたらめに選ばれたcode wordから構成されるタイプ。
これは真にやっかいである。
以上 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:23, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その7‐a)
発:英陸軍G.H.Q.情報部
日付:1918年10月12日
題:codeとcipherについて
1.過去の歴史には通信文が敵の手中となり、敗北したケースが多い。
これを防ぐためにcodeとcipherは生み出された。
(過去の戦訓は省略)
2.現在では敵に通信文を傍受、捕獲されるのは避けられない状況である。
無線通信のみならず有線電話、電信、発光信号は傍受される。
優秀な伝書鳩や犬でさえ道に迷う事があるのだ。
敵は我が軍の無線を傍受する為に、前線に監視局を設けて
暗号文を解読チームに渡している。
不幸な事に彼らは確実に成果を出している。例を挙げると、
(a)1917年7月のBelgian Coastにおける攻撃計画は、
無線傍受により敵方に漏れていた確かな証拠がある。
(b)1918年5月21日に捕獲した情報文書には以下の記載があった。
「英国のVI. Corpsは師団に2通の無線を送った。
・特別な尋問をした捕虜の士官が白状したところ、5月21日に
Sommeの北側で大規模な攻撃が計画中である。
・30台の黒い箱型の物体がCambraiとMarquionの間を移動中。
歩兵や輸送部隊では無い」
(c)今年の7月に捕獲された文書によると、前線にある米師団の
無線局から有力な情報を入手していた。
(d)9月18日に捕獲した文書によれば、敵は無線から我が軍団の
移動を把握していた。恐らくcodeかcipherが破られたのだろう。
ここで再度、暗号化の際に皆が陥りやすいミスを指摘したい。
(先の通達から1週間後に駄目押しが出るほど暗号保全に
英陸軍は配慮していたのでしょうか?
WW2の日本軍、米軍でこの種の保安通達文書を見た人はいますか?
ところで伝書「犬」は本当に使い物になったのですか?
餌に釣られてスパイ犬になったりしないのかな) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:23, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その7‐b)
<Cipher編>
3.軍用cipherは以下の要件を満たすべきだと言われている(※)。
(1)システムは数学的に解読可能であっても、実質的には解読不能である。
(2)システムの装置や方法が敵に知られても、なんら不都合は無い。
(3)暗号鍵は伝達や保管の際に紙に書く必要の無いものであり、
通信者が都度変更可能である。
(4)システムは電信通信に適している。
(5)装置は用意に持ち運び可能であり、一人で操作できる。
(6)システムは作業者に、長たらしい手続き等の心理的なストレスを与えない。
(※補足:Auguste Kerckhoffの古典、「軍事暗号」から引用。
現代でも有効な指針ではないかと私は思います。
1番目の「実質的」は経験とイマジネーションが支配するので、
要件を満たすのが難しいですね。「知らぬが仏」の暗号戦争ですから…
だから2番目をどれだけ意識して各国が暗号機や暗号書を設計したのかが、
重要なポイントだと思います) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:24, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その7‐c)
4.英陸軍では軍用cipherにPlayfair Systemを久しく用いてきたが、
最近になってField Cipherに取って代わられた。
Field Cipherは先の「6要件」を満たしてはいるのだが、
不注意に扱うと解読される事が予想される。
よくある不注意をもう一度確認していきたい。
(a)Dummy letter(冗字)の誤用
そもそも冗字使用の目的は3つ有る。
・同じ文字が続く(doublets)を防ぐ。
・暗号文字数を10の倍数に揃える。
・敵の解読を妨害する。
これまでに我が軍の通信を多数観察してきたところ、
(1)X、Y、Zが必ずと言ってよいほど冗字に採用されている。
これは誤りである。何故なら・・・
(理由が記載されているが、Field Cipher自体の情報が
私には無いので省略。ご存知の人は教えてください)
(2)文字数を10の倍数にする方法だが、
end@`stop@`finish等の文字で代用されている。これも誤りである。
冗字は文末に置くのではなく、文中に不規則に散りばめる事。
例えば"Please use three-letter calls"の場合は良い例のように。
<悪い例>
PLEASEUSET
HRXEELETTE
RCALLSTOP
<良い例>
PLEASEUSET
GHREEDLETB
TERNCALQLS
(b)無用な暗号化
コールサインは平文で送信されるのが通常だが、
暗号化無用な符号までも暗号処理する癖をもった士官がいる。
AAAの暗号化に至っては、ドイツ側が心から感謝しているに違いない。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:25, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その7‐d)
5.通信文の草案を作る際は以下の点に注意されたし。
(a)簡潔にする事
文章が短いほど敵の解読作業は難航する。略語も適切に使う事。
(b)文頭、文末の定型化を避ける事
"Reference your ? of even date"@` "Please"@`
"Situation report"@`"urgent"@`"addressed all concerned"等が多い。
(c)部隊を数字記号で表現しない事
全ての部隊にはコードネームが割り当てられているが、
このコードネームのみを使用する事。ドイツ側もこの点に注意を払っている。
ドイツ陸軍・第3軍団の通達から抜粋する
「小部隊を数字で表現すると、上部組織の存在まで判ってしまうのだ」
(d)士官名を言及しない事
1918年4月14日付のドイツ軍資料にはこの点を強調している。
「特定の士官名が繰り返し登場する事で、特定の師団の位置まで判る。
敵は名簿を準備するだけで我が師団の配置換えを特定できるのだ。」
また5月17日付けの捕獲文書には、
「敵も同様に我々の士官名から情報を得ているに違いない。
名前の言及は可能な限り禁止する。代わりにbattery commander@`
fire control officer@` observer等と表現する事」と書いてある。
(f)紋切り型の文章は避ける事
ドイツ側の3月17日付け文書によれば、
「毎日の定例報告は文体に変化を付けること。
とりわけ無線通信とBuzzerは要注意である」と言及している。
通信文の再送がどうしても必要な時は、
以下の様に完全に書き換える事(E.A.=Enemy Airplanes)。
1回目:We shot down 13 E.A. yesterday on Army front.
2回目:13 E.A. were shot down by us on Army front yesterday. ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:27, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その7‐e)
<Code編>
Code bookは長い間、最前線では使用されてこなかった。
例外はB.A.B.と呼ばれる塹壕用codeだが、敵に捕獲されてしまった。
現在はChart Codeでとりあえず代用している。
だが今後はcodeの運用を拡大してcipherに取って変える予定であり、
現在2種類の無線通信用codeを準備中である。
7.codeの暗号化の際は十分注意すること。
cipherの誤字は受信側で直ぐに気付くが、codeは気付かない可能性がある(※)
ここではcode運用の注意点を幾つか挙げる。
(a)Spelling(分かち書き)
原文を単文字で分かち書きすると、code特有の暗号強度は無くなる。
分かち書きはcodebookに語彙が収容されていない時の非常手段であり、
仮に行う場合でも、単文字でなくシラブル(音節)単位で暗号化する事。
(b)Alternative code groups
codebookに慣れるにつれて、よく使う単語については自然と対応する
codeを覚えてしまうだろう。発音しやすいcodeもあるだろう。
だが良く使う語彙には複数のcodeを割り当ててあり、
これらは均等に採用しなければならないのだ。
記憶にあるcodeを使用するのは効率は良いが危険である。
このcodebookを使うのは貴官一人だけでは無い、
仮に10人が同じcodeだけを偏用すれば、直ぐに敵に特定されてしまう。
あとは連鎖反応的に解読されてしまうのだ。
例えば「44th Division」の「4」に同じcodeを採用すれば子供でも気付くだろう。
(c)Dummy groups
これもありがちな運用ミスを指摘する。
(1)句読点の代わりに使う。
(2)出現が周期的である(例:3語おきに挿入する)
(3)過剰使用。あちこちに分散させるからこそ敵を悩ますのだ。
(e)ステレオタイプの文書
この定型メッセージは非常に危険である。
特にcodebookを更新した際に、これらの定型パターンを引き継がないよう
厳重に注意されたい。
例えば旧版codebookでは定例報告の記載順番が、
「敵情」、「作戦状況」、「上空活動」、「死傷者」、「天候」、「その他」の順であれば、
新版codebookに移行した際にはパラフレーズして例えば、
「上空活動」、「その他」、「天候」、「敵情」、「作戦状況」、「死傷者」の様にする。
(※補足:codeの破壊防止、字差理論については、加藤正隆著の
「基礎暗号学 T」、サイエンス社に詳しく書いてあります。
暗号の強度を無限式乱数側に100%依存させた日本陸軍の
codebookは丸暗記して安全性と作業効率を両立させたそうです) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:28, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その7‐f/完)
8.cipherとcodeに共通する注意事項を挙げる。
(a)許可無き人間が暗号書類に触れないようにする事。
codebookは士官が常に保持しているか、金庫に入れる。
(b)暗号文とその原文(平文)は物理的に隔離しておく事。
対照資料は暗号解読に大きく貢献する。
受信文書を回覧するときはパラフレーズ処理する。
保管が不要であれば、暗号文と原文は速やかに焼却する。
(c)暗号文は原文用紙に直接書き込んではいけない。
(d)有線電話では、暗号で送信した内容を話してはいけない。
敵は電話を盗聴している。
(e)冗字やAlternative code groupsは均等に使用する事。
(f)codebookの機密保持を怠れば、全ての通信を敵に読み取られる。
(g)無線で送信したものは全て敵が聞いている。
一旦送信したら間違いを訂正する事はできないので、
送信前に暗号文をチェックする事。
(h)受領したcodebookを他の部隊に渡した場合は
遅滞無くG.H.Qに報告し、承認を受けること。
この手続きはcodebookの紛失、捕獲を把握するために必要である。
以上 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:29, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その8‐a)
発:C.H. Henderson中尉、英陸軍情報部
日付:1918年9月14日
題:「Alpha Code」の評価(※)
1.総論
Codebookの安全性(寿命)は3つのファクターからなる。
「収容された語彙数」、「高頻度語彙に割り当てたAlternativesの数」、
「そのcodebookで送信されたメッセージの量」である。
最初に(敵の)暗号学者が取り掛かるのは送受信される場所の
特徴を掴み、そのcodeが何を隠そうとしているかを把握する事である。
敵は直ぐにこのcodeの最大語彙数が676(=26x26)である事に気付くだろう。
この語彙数では軍事および航空技術的な言い回しをSpelling無しには伝えられない。
言い換えればcodebookには単語が、とりわけ航空用語が少ないのだ。
その結果発生する分かち書き表現が敵の突破口になるだろう。
各codeの頻度と位置を観察する事で経験豊かな暗号学者は、
"Spell (ここから単語の始まり)"と"Cease Spell (終わり)"を特定できる。
しかしSpelling部分の発見だけが突破口ではない。
我々が観察してきたドイツ軍のcodebookの単語数は以前から豊富であり、
彼らは高頻度の単語には複数の候補を配置してきた。
他方Alpha Codeはこの点が考慮されていないので高頻度の単語が
一目瞭然になっている。
(※補足:Alpha Codeとは2英字からなるRAFおよびAmerica Air Forceで
使用された、航空機−地上局間用code) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:30, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その8‐b)
2.単語
Alpha Codeには580個の単語が収容されていが、全て単語1つに付き
codeが1つしか用意されていない。
例えば以下の単語には少なくとも2つ以上のcodeを用意すべきである。
A@` AN@` AEROPLANE@` ALL@` AM@` AND@` ANY@` AS@` BE@` CAN@` CANNOT@` DO@`
FROM@` HAVE@` IN@` -ING@` -LY@` MUST@` MY@` NO@` NOT@` OUR@` OUT@`OVER@`
SEE@` SEND@` THEN@` THERE@` UNDER@` UNTIL@` UP@` WAS@` WERE@` WHAT@`
WHEN@` WHERE@` WHY@` WHICH@` WHOSE@` WHO@` WITH@` YES 等。
またA@` AND@` CAN@` FROM@` IN@` YES@` NOには3つ以上が必要である。
我々は次の提案を行う
(a)単語への割り当てcode数を2倍にすべきである。
(b)Alternative code groupsを採用すること。
(c)地名、階級名、編成名も新たに収録すべきである。
3.Spelling
Alpha CodeにはSpelling専用のcodeが無くて単語用のcodeで
兼用しているが、これは非常に危険な諸刃の剣である。
このままではcodebookが1回も敵に捕獲されない事を
前提にしか強度を論じられない。
またシラブル(音節)の選定も重要である。
現在収録されている以下のシラブルは殆ど出番が無いだろう。
ABO@` APPR@` APP@` BATT@` CAS@` DAN@` DAR@` EFF@` GRO@` HAST@`NOTI@` QUA
それよりもフランスの地名に良く出てくる以下の綴りを採用したほうが良い。
VILLE@` COURT@` BOIS@` BEKE@` AU@` UI@` IEU@` EAU@` GNE@` LA 等である ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:31, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その8‐c)
4.Numerals(数詞)
数詞も解読の重要な手がかりである。
Alpha Codeは数詞を意味するcodeに異なる意味の単語を2つ同時に
割り当てる事で、数詞の特徴をうまく隠そうとしている。
もし他の2単語を注意深く、無関係に割り当ててあれば、
これは難攻不落のcodebookである。
しかし実際には”Zero”のケースを除いて痕跡が残っている。
つまり「数詞の最初の綴り文字 = 単語の最初の綴り文字」の関係があり、
これまで5版が発行されてきたが、どの版もまったく同じ単語が数詞と
セットになっていた。
一度も旧版がドイツ側に捕獲されていないと仮定するのは馬鹿げている。
他にも指摘する点がある。
航空機側が現在の高度や距離を報告しようとする際に必要な数詞が
10〜36と400〜4@`000の間には用意されていないのだ。
これも数値の分かち書きを強いる事になるので問題である。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:32, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その8‐d/完)
5.その他
(a)Phrases(フレーズ)
経験的にフレーズの解読は不可能に近い事が判っているのだが、
にも関わらず平均的な暗号手はフレーズを用いるのを嫌がる。
codebook編纂時には注意し、目立つように配列すべきである。
(b)句読点
句読点の使用は、例え複数のAlternative code groupsを用意しても
容易に特定されれてしまうだろう。
もちろん誤解を防ぐためには、割り当て自体は残しておくべきである。
このcodebookに疑問符が採用されていない事は評価すべきである。
疑問符ほど直ぐに特定され、手がかりにされるものは無い。
(c)Auxiliary Groups(補助記号)
全て2個以上のAlternative codeを用意すべきである。
例外は"PLURAL(複数形)"であって、単文字の"s"で代用されない為にも
5個は用意しておくべきである。
(d)Dummy Groups
Alpha CodeにはDummy Groupsが一切無い。
適切に使用することで解読を妨害できるので、
各ページの脚に配置すべきである。
6.まとめ
まずは先頭に3種類の英字を付けたThree letter codeへの変更を勧告する。
これにより収容語数は2@`028語(=3x26x26)に拡充される。
これを以下の様に割り当てると良いだろう。
(a)約1@`000語に相当する1@`500個のcode
(b)スペリング専用に150個
(c)数詞専用に150個
(d)フレーズに50個
(e)地名、部隊編成名に100個
(f)残りをDummy Groups、Auxiliary Groupsで分け合う。
以上
(ドイツのThree Letter Code(Satzbuch)に影響を受けたのでしょうか?
私はコード解読理論に興味があるのですがAlpha Codeの現物を渡されても、
ここまで評価できるか非常に疑わしいです) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/14 16:33, ひとまず終わりです。
こんなネタでよろしければ、ぽつぽつと続きを書いてみますが、
その代わりにどなたかWW IIのネタを提供してくださいな。
理論、史実、よもやま話、書籍、年配の方の体験談等...
暗号関係スレッドが毎回50発言前後で消えていくのは悲しいので。
なお常時Sage進行でお願いします。 ,
海の人,sage,02/01/15 01:33, Dr. Merle A. Tuveさん、おつかれさまでした:-)
>62へのレスは、ちょっと考えてから書き込みたいと思います。
や〜、でもこれはほんとに「運用要領の指示文書」として、とっても価値が高いもの
だと思いますよ、ざっと見ただけでも既にWW1の頃から、暗号管理に関しては既に
WW2のレベルに達していた・・・というか、手順が完成されていたということがよくわかり
ますです。
手順が完成されたと言うことは、ある程度の知能程度があるものであれば「習得」
することができるということであり、ひいては軍全般の通信強度が向上するということ
ですから、戦力として無視できないものがあります。
これらの暗号運用が、単なる経験則からなのか、あるいは何か元になるような
制度・運用が中世くらいから用いられてきていたのかとか、色々と興味は尽きない
ところです。
とまれ、どうもありがとうでした:-) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/15 23:49, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その9)
発:H. Wright大尉、G.H.Q.情報部
宛:War Office 情報部
日付:1918年10月17日
1. 10月11日付けの文書によると、
「全ての語句に2つ以上のcode equivalentsを採用する事が必要であり、
運用上にも問題は無い」との事ですが、私は反対します。
2.codebookのエッセンスは良く考慮して選ばれた語彙、そして配置、
科学的な根拠の上に割り当てられたcode equivalentsであります。
語彙の配置が悪いと如何なるcodebookでも台無しになり、
code equivalentsの数でもってしても欠点を埋める事はできません。
「安全」な語彙を選ぶためには単に語学の基礎を知るだけで無く、
軍事無線通信の言い回しを理解する必要があります。
この根拠は敵の暗号システムを研究し、それらを解読した我が方の
暗号学者の意見から出てくるものです。
必要な語彙というのは単に必要な単語や気まぐれで選ばれたフレーズだけではなく、
良く使われる"tomorrow morning"@`"and with"@`"enemy artillery"@`"〜men wounded"等も含まれます。
codebookに不可欠なこれらの語彙が無いのにcode equivalentsでページ数だけ
数倍になったのでは、現在我らが抱えている課題は解消しません。
3.採用する単語にあたっては特徴毎に分類し、分析が必要です。
(a)文頭、文末の単語
(b)良く出てくる組み合わせ
(c)非常に連接し易い単語
例えば数詞は解読に利用される以下の連接傾向を持っています。
(a)数詞どうし
(b)"from"@` "to"@` "until"@` "after"@` "near"@` "at"の様な前置詞
(c)"guns"@` "men"@` "material"等の単語
これらは適切なcodeの割り当てのみにより解読を防ぎます。
4.以上の知見から、提案されたcode equivalentsを数倍にする案は
不必要であり、codebookのサイズが肥大する欠陥があります。
以上
(果たして本国の連中はこれで納得してくれたのでしょうか?) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/15 23:51, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その10)
発:G.H.Q. 情報部
日付:1918年10月10日
題:F.C.1の改良案
(前半は省略)
9.ドイツ軍を含む各codebookにおける単語やフレーズの配置は実用的で無い。
これまでに捕獲された文書のお陰で多数のドイツ側暗号文が完全解読されたが、
フレーズにあたるcodeが殆ど使われていない事が判った。
これはフレーズがcodebook中に分散して配置されている為だと思う。
多くの暗号手は時間を惜しむためフレーズ部分を良く探さないで作業する。
彼らは単語どうしを繋いでフレーズを構成する方が楽なのだ。
よってフレーズの配置を見直し、フレーズの存在を彼らに注目させる必要がある。
そこで提案だがencode部の各ページは2列構成にし、左列を単語、右列をフレーズ+注記の構成とする。
さらにフレーズを構成する各重要単語の右隣に該当フレーズを配置させる。
つまりcodebook中に同じフレーズが2〜3回登場するわけだ。さらにフレーズ専門のページも用意する。
この新しいフレーズ配置により以下の利点が生じる
(a)暗号化が簡単になる。暗号手はこれまで通りに単語単位でページをめくるが、
もし右側に使えるフレーズが出てきたら、フレーズを採用するだけである。
(b)codebookがシンプル化する。
語彙、数詞、フレーズその他、部隊と地名の4部構成である。
(c)右列の空白を利用して注釈が入れられる。
例えば"S"の隣には「複数形の記号代わりに使うな」と記載。
10.良く登場する単語は特定単語と連接する傾向がある。
これはドイツのcodeを解読する過程で得られた知見である。
これらの単語の組み合わせもcodeとして収録すべきである。
11.部隊と地名の部には空白のページを残しておきたい。
必要に応じて各部隊で書き加えるためである。
12."Code-compromized(暗号事故)"のcodeはその性格上ただ1回しか使用されない。
よってAlternative code groupsは不要であり、覚えやすい子音−母音−子音の組み合わせにする。
さらに以下の様に表紙に印刷しておくのが望ましい。
IMPORTANT Memorize this group: Code compromized = G.I.G.
13.codebookにサムインデックスを付けて目的のページを
めくり易くすると良い。墜落したドイツ機に同じ機能があった。
また現在はencode部とdecode部が別冊になっているが、
両者を天地逆にして1冊に綴じた方が扱い易くなる。
14.表紙に以下の但し書きを付けた方が良い。
「codebookは敵に渡してはならない。
危機の際は焼却し、直ちに報告の事。
報告にはBAT(例)のcodeを用いる」
以上
(暗号保全とは本当に泥臭いものですね) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/15 23:53, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その11)
発:2nd Echelon G.H.Q. 情報部 中佐
日付:1918年10月11日
すでに9月26日付の報告書に述べたように、
1st Corpsは未だに無用な練習文を送り続け、
その量は全体の69%に達している。
あるオーストリア部隊も司令部の位置や移動について暗号文だけでなく
平文でも送信しており、その70%が平文である。
米軍の2nd Corpsも文頭、文末に士官名をつける癖がある。
ある特定の局からいつも同じ署名で発信されているから、
解読の好材料のみならず、部隊の移動まで悟られる可能性がある。
第30師団の部隊も極めて長い定型文を送る傾向があり、
各段落の先頭には数字で見出しが付いていた。
彼らには私の説明が解ってもらえないのか?
以上
(中佐殿は感情的になっていますね) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/15 23:55, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その12)
発:G.H.Q.
日付:1918年
我が軍の通信を監査した中で特に指摘したい点を挙げる。
1.文章が不必要に長い。
2.Dummy groupsがいつも文末に集中している。
3."To"で始まる文章が非常に多い(特に米軍の2nd Corps)。
4.平文で送信される量が今尚多く、その内容が致命的である。
(中略)
保安担当士官を各部隊に派遣して直接指導させたいのだが
各無線局に出向くのは非常に困難である。
現地までの距離は離れているのに彼らには車が無い。
他所から車を借りるのも大変である。
司令部の書記係に協力してもらえると非常に有り難いのだが、
彼らは既に情報部の仕事で手一杯だ。
以上
(つい愚痴が出てしまったようですね) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/15 23:56, >海の人 殿
>62へのレスは、ちょっと考えてから書き込みたいと思います。
交信解析は実感が全くわかないので、本を読んでも全く理解できないのですよ(恥
私の予想では軍用航空無線ファンの人ならば経験的に会得してるのでは
ないかと思うのですが、暗号同様に趣味の人が周囲に居なくて困ってます。
楽しみに待っています。
このように多数の通達文書がそっくり転載されている文献は意外と少ないのですよ。
概論を書くより、当事者の胸中がにじみ出た生文書のほうが皆様にも
判り易いのではと思ってネタに選びました。
次回は捕獲して英訳されたドイツ軍の通信保全通達文書です。
かなり長文なので、しばらくお待ち下さい。 ,
名無し三等兵,,02/01/16 02:01, スレの場所が分からなくなった人もいると思われ、あげ ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/19 01:01, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その13-a)
発:G.H.Q. 情報部
日付:1918年4月13日
題:捕獲文書「NOTE BY GENERAL STAFF」の翻訳。
1.(ドイツ)参謀本部は我が信号隊の通信内容を詳しく研究した結果、
極めて注目すべき事実が判った。
この内容は信号隊のみならず中隊レベルまでに周知させたい。
2.通信から敵が得られる情報を最小限にするために以下の方法を提案する。
(a)前線でのあらゆる通信に使用する新式のcodebook。
(b)師団レベル以上の無線通信で使用する特別なcodebook。
(c)通信を絶対に必要な用件に限定する。
(d)"Utel instrument"の採用。これは非常に傍受し難い(※)
(e)最前線から3@`000ヤード以内での有線電話は士官のみ許可とする。
さらにこの危険地帯での電話応答はcodeを使用する事。
(f)無線局とbuzzerのcallsignsは「地区」単位で割り当てる。
よって師団が交代する際もcallsignsを引き継ぎ、使用期間が過ぎてから更新する。
戦闘が開始され、部隊が別の地区に移動したらcallsignsを変更する事。
(g)同様に部隊や地名につけたcodenameも地区ごとに定期的に変更する事。
(※補足:UtelとはUnabhorchbare Telegraph(Untappable telegraph)の事です)
3.通信欺瞞として以下の対策を行う事。
(a)通信量の急激な変化は避ける。新設した無線局は必要な時まで発信しない事。
(b)部隊を撤退させる際も、偽のメッセージを流して普段の通信量を維持する事。
4.敵は無線通信の保全性に注力をし始めた。
我々の交信を通じて得られた知見から、日々新しい厳格な規則を設けている。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/19 01:02, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その13-b)
<総則>
1.敵は組織的、継続的に我々のあらゆる通信を傍受している。
一見無害な内容であっても、継ぎ合わせて部隊編成や展開、意図までも察知できる。
2.敵による傍受の対抗策としては、
(a)通信量自体を抑制する。
(b)敵に理解不可能な秘密の通信を行う事。
3.どの様な通信手段でも敵は傍受可能である。
無線とBuzzerは我々と同様に受信できる。有線電話・電信もかなりの距離から盗聴される。
発光信号は遠方から見えるし、伝書鳩や犬も時には敵陣に向かってしまうのだ(以下略)
4.対抗策は傍受のリスクに応じて行う。
無線とBuzzerでは平文を僅かでも使用してはいけない。全てcodeを用いる事。
有線電話についても、最前線から3@`300ヤード以内は危険と思え。
司令部付近においても会話の内容に注意し、回線をチェックする事が必須である。
伝書鳩や犬を利用する際もcode化する事。
5.経験上、敵の砲火や悪天候そして士気の低下により暗号化作業が困難になると、
後の事を考えずに平文で送信しがちであるが、いかなる状況でも禁止である。
前線では全てcodebook(Schlusselheft@` 3数字コード)にて通信する。
6.連隊本部後方での無線通信にはSpecial codebook(Satzbuch、3文字コード)を使用する事。
7.このSpecial codebookでさえも師団以上の通信には適していない為、
Special wireless code、Gedefu(Geheimschrift der Funker)を用いること。
8.上記以外にも親展用のWar Ministry Codeが在る。
(GedefuとWar Ministry Codeは解読されなかった様です)
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/19 01:03, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その13-c)
<コードの使用>
9.以下の例外を除き、全ての通信にはcodebook(Schlusselheft)を使用する。
(a)送受信者が共に前線から3@`000ヤード後方に居り、
かつ内容が秘密でない場合は有線電話で暗号化せずに会話してよい。
なお砲兵隊と着弾観測班との通信は上記に関わらず暗号化が不要である。。
(b)連隊本部より後方の無線通信にはspecial codebook(Satzbuch)のみを使用する。
10.効率化の為、code-bookに載せてある単語やフレーズを用いる事。
11.暗号化/復号化作業は原則として送受信者のみが行うが、
無線では受信局にて直ちに復号して受信誤りが無いかをチェックする。
12.codebookとspecial codebookは秘密文書であり、敵に捕獲されそうな時は破棄せよ。
13.航空機には簡易版のcodebookを用意してある。
14.codebookに収録されたcodeと通常の単語や略号を混ぜて送信してはならない。
またcodebookで暗号化された通信文を転送する際はspecial codebookで暗号化しない事。
15.必要な単語等を追加するため、codebook等には補遺用のcodeが残してある。
なお追加したcodeの件は関係者に周知させておく事。
16.(既出の繰り返しにより省略)
17.部隊名は指定されたcode-nameを用いて暗号化する事。
18.special codebookは4週間毎に更新するが、紛失した際は直ちに切り替える事。
19.codebookを2次暗号化するsecret grid(Geheimklappe)は1週間毎に更新する。
(special codebookの更新期間は末期になると短くなったようです) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/19 01:04, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その13-d)
<通信保全>
20.我々の意図を隠す事は全ての作戦、とりわけ奇襲作戦で重要である。
21.保全規則を破ったり、軽んじたりすると我が軍を危険に曝す。
違反者は軍刑法第64節の基づき軍法会議にかける。
22.指揮官らは担当区域の交信内容をチェックし、規則違反があれば報告する事。
23.通信保全の重要性を部隊に浸透させるには単に文書や口頭では不十分である。
例えば指揮官による講習会、新聞への掲載、宿舎や駅へのポスター掲示が挙げられる。
24.全ての部下に規則違反が彼自身だけで無く、部隊全体に危険である事を理解させる事。
25.有線電話においては、通話規則の厳守のみが敵の傍受を無効にする。
26.前線から3@`300ヤード以内では士官のみが電話を使用できる(以下略)
27.攻撃命令等の重要な内容は後方においても電話を使用せず、文書で伝える事。
28.前線での電話線は複線とし、単線は傍受され易いので用いないこと。
また電話線は前線から垂直に(遠ざけて)這わせる事。
29.使用を停止した電話線は敵に利用されない様に物理的に処分する事。
30.目の届かない所で敵が電話線に細工しない様注意する事。
31.前線での電話回線の数を制限する事。
32.全ての電話には次の警告文を記しておく事。「注意!敵はお前を聞いている」
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/19 01:05, 「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」(その13-e)
33.発光信号も敵との距離が近い場合は、code化する事。
34.call signsは部隊交代の際に変更しない事(以下略)
35.戦闘が始まり部隊が移動した場合には、逐次callsignsを変えること。
36.(繰り返しに付き省略)
37.callsignsを定期的に使用したり、同じグループで再利用してはいけない。
38."General call"は敵に部隊編成を悟られるので許可しない。
(General callとは中央の無線局が系列局の「点呼」を取り、交信状態を確認する事です)
39.部隊名、地理的な事柄は全てcode-nameを使用する事。
40.code-nameは敵にヒントを与えてはならず、味方の混乱を引き起こしてもいけない。
出身地の地名や橋の名前等を利用してはいけない。
41〜47.(繰り返しに付き省略)
以上
(かなり抄訳しています。ほんとに難解・冗長な文章で意訳も強いられました。
ドイツ軍の文章(を訳した英文)とはこうも読みづらいものなのでしょうかね。
基本的な着目点は米英軍側と同じ認識と見てよろしいのですが、
掛け声倒れに終わったような気がします)
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/19 01:07, 各位 これで「通信保全編」はおしまいです。
また機会(と根性)があれば「コード解読技術編」にチャレンジして見ます。
長い間スレをお借り致しました。失礼しますです。 ,
名無し三等兵,,02/01/19 13:36, あげ ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/20 16:39, >1殿
「暗号はこうして解読された」を今日ようやく入手できました。
なにより信じられない程多数のコピーの存在がうれしいですよ。
紹介してくださって感謝!
ところでD暗号用乱数の開始位置の件(p84-85)ですが、
これまでは「帝国海軍の開始位置は担当者まかせ」であり
相当の偏用があったと私は思い込んでいました。
実際は彼らもone-time padでは無いにせよ、
出来るだけ偏用が無い様に規則上は考慮していたのですね。
また何か良い本があったら教えてください。
,
1,sage,02/01/22 00:23, いえいえ、こちらが教えていただきたい位です。元々軍艦からスタートしたので
ハード偏重なもので。
,
名無し三等兵,,02/01/25 01:16, 定期あげ。
アメフトとかの無線は傍受されないのだろうか?
野球のサインとかも解読してほしい。
あれもある意味暗号みたいなもの。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:24, 何か盛り下がってしまった様なので、再度ネタふり
「出題編」(その1)
SPECIAL CODE PROBLEM FOR THE STUDENT
from "Solving German Codes in World War I" by W.F.Friedman
PROBLEM
The enemy in known to be using unencipered code system.
Text is in English.
Code groups are five-digit groups.
In order to read the text of the messages@`
the student must reconstruct the code-book by analysis.
Six messages have been intercepted.
It is believed that XYZ is the call-sign of a uint commanded by General SMITH;
and that NGV is the call-sign of General DAVIDSON's command.
NOTE TO STUDENT:
Solution of a code often begins by finding those code-groups
representing letters and numbers.
In the present case@` the names SMITH and DAVIDSON likely have been spelled
using code-groups to represent either syllables or the letters themselves.
Words might be searched for@` such as General@` for@` to@` stop@` period@` etc.
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:26, 「出題編」(その2)
Message No.1
to XYZ(General SMITH)
from NGV(General DAVIDSON)
Time 01:30@` 121 words
28715 31705 17718 45504 48332 19379 40209 27521 22762 46896
20795 45504 38078 23903 18806 07103 11719 36161 31489 51923
23619 40209 47728 15474 24825 34719 22762 30249 19073 48332
03222 03157 11885 31689 48102 45504 25352 53608 18337 40209
31689 01393 45504 52215 52780 36659 01284 46424 18324 53608
18337 40209 45504 25352 23262 37566 10129 53018 32157 21282
37210 40209 45504 15474 06887 04113 16423 14756 11719 48332
03230 48332 32356 40057 53608 35436 40209 50924 22762 30249
19073 47169 40209 01934 23825 45504 07411 38827 18324 48365
18220 40209 45504 49653 25474 14756 11719 42958 53314 14756
11719 01934 42953 29284 22762 30249 19073 45504 42707 14756
11719 19379 11719 00101 50932 22762 11719 40209 31222 30249
45504
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:27, 「出題編」(その3)
Message No.2
to NGV(General DAVIDSON)
from XYZ(General SMITH)
Time 02:00@` 99 words
28715 48001 45504 18324 19379 11719 00101 50932 22762 11719
40209 31222 30249 45504 00602 53608 28715 17451 45504 32157
49233 40209 21220 04382 37022 31689 01393 01934 52215 02642
35854 11719 18324 15474 03222 45504 52215 52780 45135 23262
37566 10129 53018 53608 21323 45504 02194 47169 52261 40209
21220 04382 37022 23262 35436 01934 52215 02642 09769 31489
32157 00224 48332 38901 47753 15474 45504 32157 29673 24825
21817 45504 52215 13864 30472 29702 01781 01934 19275 45504
24825 24871 35464 48332 01284 14466 47862 46423 40209 45504
42707 14756 11719 40209 27521 22762 46896 20795 45504 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:30, 「出題編」(その4)
Message No.3
to XYZ(General SMITH)
from NGV(General DAVIDSON)
Time 03:15@` 143 words
28715 31142 42958 45504 18324 19379 40209 27521 22762 46896
20795 45504 19018 01829 31489 32157 28715 17451 18220 40209
36161 31489 51923 24825 18806 15474 40209 15014 13851 45504
21921 50358 21165 29873 11719 24514 47753 51431 31489 21865
30780 15012 53664 53664 01934 01453 13851 00101 25689 49223
40209 21220 04382 44175 25689 53491 06051 14756 11719 18324
31811 40209 48332 09263 03157 49608 22490 22337 40209 31689
48102 45504 48332 10751 47918 15474 03222 52215 02642 06086
23262 19073 23262 00101 06058 31489 21453 02863 18806 02775
38931 18337 40209 45504 23262 00729 52215 02642 01393 23262
19073 31705 13851 31489 32608 00101 37433 00101 49223 40209
48332 25225 04435 15474 18337 40209 31110 09605 11719 02786
21865 30788 15012 22490 45504 52215 52780 25352 53601 00971
11719 45504 42707 14756 11719 19379 11719 00101 50932 22762
11719 43858 45504 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:31, 「出題編」(その5)
Message No.4
to NGV(General DAVIDSON)
from XYZ(General SMITH)
Time 04:20@` 96 words
28715 18567 48332 19379 11719 00101 50932 22762 11719 43858
45504 52215 50882 30249 46896 25689 53491 30472 48332 01284
16076 49611 42953 53314 14756 11719 45504 32157 28511 16762
24825 31026 00240 48332 20966 47862 53314 14756 11719 07321
40209 02876 24871 24825 31110 01558 09475 25689 53491 17507
14756 11719 45504 52215 01599 21220 31712 49653 13915 40209
03444 45504 24825 24871 35464 48332 21220 00730 13915 40209
01934 31176 40209 03031 14756 11719 48332 47918 09251 45504
34876 38826 43872 14756 40209 46896 45504 42707 14756 11719
19379 40209 27521 22762 46896 20795 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:32, 「出題編」(その6)
Message No.5
to NGV(General DAVIDSON)
from XYZ(General SMITH)
Time 04:45@` 41 words
28715 31142 17718 18324 19379 11719 00101 50932 22762 11719
40209 31222 30249 45504 52215 21220 27262 10129 53018 42959
06058 14816 31489 50920 45504 06887 53601 37923 47762 06580
47425 45504 42707 14756 11719 19379 40209 27521 22762 46896
20795 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:33, 「出題編」(その7/完)
Message No.6
to NGV(General DAVIDSON)
from XYZ(General SMITH)
Time 05:01@` 67 words
28715 42953 48332 19379 11719 00101 50932 22762 11719 43858
45504 06911 32157 28715 17718 45504 52215 21220 25278 15965
14756 11719 37566 10129 53018 42959 06058 45504 47869 00971
47728 47869 02642 40057 30249 23262 19073 27312 31689 01781
01934 15474 21165 27569 18567 36212 23262 19073 03222 40209
23262 26010 49611 18567 22337 40209 45504 42707 14756 11719
19379 40209 27521 22762 46896 20795 45504 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:36, 「挑戦編」(その1)
(この問題と出会って13年目、未だに全面解読してないです。
ほんとに理論と実践は別物、悔しい限り)
<1冊制、2冊制?>
まずはどちらのcodebook形式かを推定します。
・コードは6つの暗号文で567個使用され、その種類は190種。
・数字として最小は00101、最大は53664。
・一見して数字に規則性は無い(偶数奇数、3の倍数のような割付は無い)
・45504が最高で42回出現するが、ほとんどのコードは1回しか出現しない。
頻度ベスト10は以下の通り、code(出現回数)
00101 (10)@` 11719 (32)@` 14756 (16)@` 19379 (11)@` 22762 (15)
23262 (10)@` 40209 (34)@` 45504 (42)@` 48332 (15)@` 52215 (12)
これだけで形式を決め付けることはできませんが、1点だけ突破口がありました。
10回も使用される00101に注目すると1冊制であればこれがaに思われます。
さらにaはDavidsonを綴る上で必要な文字です。10回使用してもおかしくありません。
他方、2冊制と仮定すると00101=aである可能性は低くなります。
そこで00101=aとして解読を進めて行き、辻褄が合えば「1冊制の仮定が正しかった」することにしました。
さらにコードの配列は英英辞書のように単純、冗字(Null)や度数秘匿用のVariantsは用いていないとの虫の良い仮説も立てました(これは学生向けの問題なのです)。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:37, 「挑戦編」(その2)
<署名はDavidson?>
暗号文中に出現するはずの固有名詞、SmithとDavidsonに注目します。
これらの単語は単文字やシラブルで分かち書きされている可能性が大であり、
特徴的なパターンから発見しやすい傾向があります。
まずはDavidsonから攻撃します。
・仮定した00101=aを含む。
・Smithより文字列が3つ長いので、より識別しやすい。
・aを挟んでdが反復する特徴がある。
そこで00101を2番目に含み、かつ1番目と5番目が同一である6つのグループを発見しました([Message No/ Position No]、*****は文頭文末の略)
[1/113] 11719 00101 50932 22762 11719 40209 31222 30249
[2/006] 11719 00101 50932 22762 11719 40209 31222 30249
[3/137] 11719 00101 50932 22762 11719 43858 45504 *****
[4/005] 11719 00101 50932 22762 11719 43858 45504 52215
[5/006] 11719 00101 50932 22762 11719 40209 31222 30249
[6/005] 11719 00101 50932 22762 11719 43858 45504 06911
一見して以下の特徴があります
・各メッセージに1回だけ出現する(受信宛名もしくは発信署名で1回は出現する)
・それも文頭、文末のいずれかである(宛名や署名の定番位置)。
・原語のアルファベット順がcodeの昇順に対応している(英英辞書型の配置)。
a - d - i - n - o - s - v と 00101 - 11719 - 22762 - 30249 - 31222 - 40209 - 50932
・だが[1@`[2@`[5はDavidsonのパターンを満足しているが、[3@`[4@`[6はsのところから別のパターンを示す。
[3@`[4@`[6のcode群は連接特徴が単なる偶然で同じになった別の語句か?
Davidsonを仮定したのが誤りか?この判定には別の証拠が必要です。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:39, 「挑戦編」(その3)
<StopとSonの発見>
もう一度[3の文末を観察します。
[3/137] 11719 00101 50932 22762 11719 43858 45504 *****
Davidsonの最後のnを当てはめることは不可能(文末でコードが切れている)。
それでは43858や45504は一体何か?
特に45504は最多出現(42回)で、文末を含めて均一に散らばって出現しています。
これはstop(句読点の「。」に相当)ではないかと観察すると、
・45504は文頭やその付近には出てこない。
・仮定したDavidsonの直後にも連接する。
・互いに連接しない。最低でも5単語分離れている。
・もしs=40209@`v=50932であるならば、stop=45504はコードの順列に適う。
s=40209とstop=45504の間に配置される43858はson(息子)です
これで形式判定と解読が正しいことが確信されました。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:41, 「挑戦編」(その4)
<やはりSmithもあった>
今度はSmithを探します。s@` m?@` i@` t?@` h?のパターンが登場するのは、
[1/011] 40209 27521 22762 46896 20795
[2/098] 40209 27521 22762 46896 20795
[3/011] 40209 27521 22762 46896 20795
[4/096] 40209 27521 22762 46896 20795
[5/041] 40209 27521 22762 46896 20795
[6/066] 40209 27521 22762 46896 20795
m = 27521@` t = 46896@` h = 20795と考えて良いでしょう。コードの順列とも矛盾ありません。
また各暗号文の文頭もしくは文末に1回出現する事とも整合性があります。
<General はお約束>
Davidson@` Smithが判明したら、前連接するGeneralを攻撃します。
名前の直前を眺めていると、General = 19379に疑いの余地は有りません。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:42, 「挑戦編」(その5)
<codebookの特徴は何か>
問題のcodebook構造について再度考察します。
・1冊制。
・sonの存在から見て軍用に編纂されたもので無く、英英辞書を転用した可能性が有る。
・codeの5桁目が1〜5に限定、のこり4桁はほぼ0から9が一通り出現している。
またa=00101であるから、最初の3桁がページ数(536ページ強)かとも思う。
ここで市販の英英辞書との対比を試みます。手元にPENGUIN社のPOCKET ENGLISH DICTIONARY 4th Ed.(991ページ 68@`000語)が有り、これを利用しました。
・まず解読されたcodeを抜き出し、英英辞書では原語が何頁に載っているかをチェック。
(code=原語 - PENGUIN辞書での頁)
00101= a - 1
11719= d - 211
19379= general - 353
20795= h - 380
22762= i - 419
27521= m - 507
30249= n - 558
31222= o - 576
40209= s - 737
43858= son - 808
45504= stop - 839
46896= t - 864
50932= v - 936
codeを整数のX、辞書の頁をYとしてグラフに描くと1次の関係にあります。
Y = 0.0184 * X (R2 = 0.9999) これを参考にして最初の文字を推定する価値はありそうです。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:44, 「挑戦編」(その6)
<文頭への攻撃>
ここには通信文の通しナンバーやカテゴリーが来る可能性が大きい。
[1/001] 28715 31705 17718 stop 48332 General s m i t h
[2/001] 28715 48001 stop 18324 General d a v i d s o n
[3/001] 28715 31142 42958 stop 18324 general s m i t h
[4/001] 28715 18567 48332 General d a v i d son
[5/001] 28715 31142 17718 18324 General d a v i d s o n
[6/001] 28715 42953 48332 General d a v i d son
まず最先頭の28715に注目、
・9個中7個が最先頭。
・codeから原語はme付近から始まる単語と推定
・直後に連接する9つのcodeはほぼ異なる。
28715 = messageと推定。直後には数詞が連接し易いので3番目の特徴も説明できます。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:46, 「挑戦編」(その7)
<数詞への攻撃>
つぎにmessageに続く数詞と思われるコード群に注目します。
・数詞には双方が発信した時系列と整合性があるはず
・但し48332@` 18324は数詞では無い?両者はstopとgeneralの間にも出現。
18324 = for@` 48332= toは間違い無いでしょう。
それぞれ15回、7回の高頻度も納得しますし、グラフにもマッチします。
XYZ NGV@` [1/001] message 31705 17718 stop to General s m i t h
NGV XYZ@` [2/001] message 48001 stop for General d a v i d s o n
XYZ NGV@` [3/001] message 31142 42958 stop for general s m i t h
NGV XYZ@` [4/001] message 18567 to General d a v i d son
NGV XYZ@` [5/001] message 31142 17718 for General d a v i d s o n
NGV XYZ@` [6/001] message 42953 to General d a v i d son
数詞を当てはめてみます。
code = 先頭の推定文字(2字目は誤差が大きい)
17718 = fl?
18567 = fr?
31142 = nu?
31705 = on?
42953 = sk?
42958 = sk?
48001 - th?
31142 = number にさえ気付けば後は芋ずる式に、
17718 = five
18567 = four
31705 = one
42953 = six
42958 = sixteen
48001 = three
ここらで私は「通信保安編」の意味が何となく判りました。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:48, 「挑戦編」(その8)
<文末への攻撃>
general Smith@` general Davidson直前に共通するcode群に注目、
特に42707は各文末のこの位置に1回しか来ません。
PENGUIN辞書ではsiで始まる単語にあたります。sigened(署名)でしょうか?
stop 42707 14756 d general
stop 42707 14756 d s m i t h
ここで英英辞書を転用したコードブックの重要な特徴に気がつきます。
特徴1:動詞の過去形はwent等の例外を除き存在しない。
よって現在形+e+dとする必要がある。
特徴2.名詞の複数形はmen@`women等の例外を除き存在しない。
よって単数形+sとする必要がある。
特徴3.形容詞の比較級、最上級はmore@`worst等の例外を除き存在しない。
よって原形+e+r@` e+s+tとする必要がある。
特徴4.動詞の現在進行形もほとんど存在しない。
よって現在形+i+n+gとする必要がある。
特徴1から42707 = sign@` 14756 = e と解読されます。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 03:50, 「挑戦編」(その9/ここで討ち死に)
この13年で暇見ては解読できたcodeが190中25個(13%)です。
00101 = a
11719 = d
14756 = e
17718 = five
18324 = for
18567 = four
19379 = general
20795 = h
22762 = i
27512 = m
28715 = message
30249 = n
31142 = number
31222 = o
31705 = one
40209 = s
42707 = sign
42953 = six
42958 = sixteen
43858 = son
45504 = stop
46896 = t
48001 = three
48332 = to
50932 = v
文頭文末は判りましたが、文中が意味不明。
これ以上、うまい知恵が浮かばない状態です
恐らくイマジネーションが支配する領域では無いかと思います。
もし残りを解読できた方はageて教えてください。心底尊敬しますよ!!
,
海の人,sage,02/01/26 06:54, うげ、「短気大学卒」の海の人が一番苦手な課題ですね(笑)
それにしても、Davidsonから「son」の類推は鮮やかですねぇ。
蛇足ではありますが、ヴィジュネール式の換え字に、さらにもう一度
有限・無限乱数をかける暗号が第2次世界大戦以降主流になった理由が
このあたりにあるのが、よくわかります:-)
,
名無し三等兵,sage,02/01/26 11:11, 斜め読みですが、感心しました。
英文で一番出てくる単語は「the」ですから、
それを見つけてその次は既出の単語だと推測そくすることもできますね。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 13:38, >114
海の人 殿
自分の無能さをとことん思い知らされた演習問題ですが、形式判定は本当に苦労しました。
参考書にある大抵の演習問題は形式がヒントとして載せてありますからね
「暗号解読の実践は臨床医学に似ている。
正しい診断こそが最も重要で、困難な第一歩だ」
あと暗号解読の才能については以下の名言もありますね。
・「未知の暗号を解くのに必要な4つの要素は重要な順に
忍耐、注意深い分析、直感、そして運である」
- 米陸軍暗号の導師、Captain Parker Hittの著書、
Manual for the solution of military ciphersから
・「暗号解読に必要な才能は数学の才能、音楽の才能、チェスの才能の3つである」
- 米国暗号学者、David Kahn氏のTV番組(暗号を売った男達)でのコメントから
・「Hitt大尉の4要素に加えて、幅広い教養、多くの文献や実例に触れること、
チームワークがとれること、システマチックな仕事、記憶力、コンピュータを使いこなせる事」
- William FriedmanとLambros Callimahosの共著、Military Cryptanalyticsから
どれも私に無いものばかり、鬱になりますよ
暗号界には「天から二物を与えられた」人物が多い理由も納得! ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 13:40, あと暗号に関する言葉で印象深いのは、
・"The golden guess is morning-star to the full round of truth."
- Tennyson
・"A likely impossibility is always preferable to an unconvincing possibility."
- Aristotle
(いずれもMilitary Cryptanalyticsの巻頭言から)
・2000年前に没したペルシャの女王の墓碑銘には
以下のメッセージと暗号文が刻まれていたそうです。
"Stay@` weary traveler !
If thou art footsore@` hungry@` or in need of money -
Unlock the riddle of the cipher graven below@`
And thou wilt be led to riches beyond all dreams of avarice !"
ついに秘密の入り口を示す暗号文が解かれ、
墓の中に納められた宝箱を開けてみると、そこには平文が
"O@` thou vile and insatiable monster!
To disturb these poor bones !
If thou hast learned something more useful than the art of deciphering@`
Thou wouldst not be footsore@` hungry@` or in need money !"
(暗号についての意味深な逸話です。
これまで本にぶっこんだ金額と読書に費やした時間を考えると、洒落にならない)
・「感覚しなかったことは、決して想像にも現れない」
(心理学の法則、長田 順行著「暗号」から)
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 13:41, (無味乾燥な技術論が続いてしまったので口直しに)
「スパイと検閲」(その1)
第1次世界大戦は暗号メッセージを忍ばせた手紙(スパイ)と
検閲当局との戦いでもありました。
あるスパイ容疑者が"FATHER IS DECEASED."と外国に電報を打ったのを
おかしい表現だと思った検閲官が(文意が変わらない程度に)
"FATHER IS DEAD."と書きなおして宛先に送った。
案の定、数時間後に返事の電報が容疑者宛てに届いたそうです。
"IS FATHER DEAD OR DECEASED ?"
以下は検閲官が怪しいと感じる事例だそうです。
・書いてある内容は急ぎの用件では無いのに、航空便や速達で送ってある(緊急連絡)
・書かれた日付と消印(投函日)が大きく異なる(日付が暗号)
・たいした内容では無いのに時間をかけて書いてあり、封筒もしっかりしている
(書くこと自体がスパイの重要な仕事だから)
・書き手が知り得ない、体験していない内容が書いてある。
(マスコミに報道されない遠隔地の空襲被害を記載)
・単語と単語の間隔が意図的に調整されている。
(間隔を数字やモールス符号化)
・いつもは”:(コロン)”で文末を止めているのに、”;(セミコロン)”を使い始めた。
(緊急、秘密メッセージ入りの合図)
・"i"の点や"t"の横棒の書き方がおかしい。(モールス記号)
・書体(筆記体の止め方、はらい方)が特徴的。(ベーコン式暗号)
・書き手の年齢、職業にそぐわない誤字、脱字がある(誤字、脱字がメッセージ)
・アンダーラインや改行が際立って多い。
・子供らしい字体、文法で書いてあるが、大人が使うような単語が含まれている。
・やたら点線、破線がある地図やスケッチ(モールス記号)
・素人作曲家でも書きそうも無い、無茶苦茶な楽譜(音符で暗号化)
・絶対に有り得ない駒並びをしたチェスの問題(駒の種類と座標で暗号化)
・やたら固有名詞(人名、地名、商品名)を引用した親書(固有名詞がコード)
・何かおかしいと感じる文章。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/26 13:42, 「スパイと検閲」(その2/完)
「疑わしい手紙」に秘密インクが隠されていないかも当局は見張った。
想定される秘密インクに対応する現像液に絵筆を漬けて手紙をなぞり、
行間や余白、封筒に隠れている暗号文を検出しようとするのだが、
現像液がミスマッチすると証拠物件を台無しにする恐れがあった。
ドイツはインクの代わりに純水だけで書いた手紙を現像できる方法を開発。
つまりどんな秘密インクでも現像できたのに対して、米国のMI-8には現像不可能だった。
MI-8は万能現像薬を開発すべく検閲先進国である英国に協力を求めて、
秘密インクのエキスパートであるコリンズ博士を招聘。
コリンズ博士はMI-8のメンバーに対してドイツの技術的優勢を伝えて挨拶した。
「出発前に上司から『神にすがっても、万能現像薬を見つけるんだ。
これにはアメリカ人の協力が必要だ』との訓示を受けてきました」
本当はコリンズ博士が渡米する1年も前に英国は万能現像薬(ヨウ素蒸気法)の
開発に成功したそうです。
「血は水より濃い」とか言いながらこの白々しい科白を言う英国人には
油断もすきもあったものじゃない。
(ヨウ素蒸気法:ヨウ素の蒸気を満たした容器の中に、疑わしい手紙を入れておくと、
紙繊維中に昇華したヨウ素が浸透・着色します。
その際に濡れている所や繊維が筆圧で乱れた所ではヨウ素の浸透速度が空白部に
比べて異なるため、秘密のメッセージが浮き上がる仕掛けです。
有機化学分析で薄層クロマトを利用したことがある方は判りますよね)
以上
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/01/27 03:06, >115
>英文で一番出てくる単語は「the」ですから、
>それを見つけてその次は既出の単語だと推測することもできますね。
私も最初はtheを探したのですが、今までの解読が正しいとの前提であれば
アルファベット順の関係からtheは46897〜48000の間に来るはずであり
penguin辞書からの推定では47286〜47386の範囲だとも予想されますが、良い候補がありません。
近傍にある高頻度の48332をtoからtheに置き換えるのは無理があるような気もします。
code 頻度 頻度% 原語
46896 8 2.2 t
47169 2 0.6 ?
47425 1 0.3 ?
47728 2 0.6 ?
47753 2 0.6 ?
47762 2 0.6 ?
47869 2 0.6 ?
47918 2 0.6 ?
48001 1 0.3 three
48102 2 0.6 ?
48332 15 4.2 to
また軍用通信文には保全上からtheやa@`anを強いて使わない様な気もします。
今後も以下の点でお気づきの点があれば教えてください。
・分かち書きされそうな仮定語(500頁程度の英英辞書に載っていない単語)
・and、comma、periodの様な区切り語の存在(stopとstopの間が長いのが気になる)
・5W1Hを示す単語、センテンス
・General smithからのmessage 5と6の関係についての考察
特に6は01分と中途半端な時刻(他は定刻)に送信され、
先の5について第2センテンスで言及しているみたい。訂正通信か?
,
名無し三等兵,sage,02/02/01 19:06, 一人だけ張り切りすぎると、スレが寂れるからほどほどにね・・・ ,
海の人,sage,02/02/02 00:33, >121みたいな嫌がらせは気にしないでくださいね:-)
で、ようやくDr. Merle A. Tuveさんの13年の苦闘の跡の追跡が終わりました。
これだけ長い間、くろうしてこられたのが一朝一夕に判るとは思いませんが
海の人もがんばってみますです。
,
96式陸攻,sage,02/02/02 02:03, そう考えると、よく97式印字機とか解読したものかと思う。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/02 04:38, >121、122 殿
双方の意見を有りがたく頂きますです。
私としては暗号スレが1000まで長生きしてくれれば全て良しです。
ただネタの切れ目がスレの切れ目なので、あえて埋め草を乱発しています。
どなたか交通整理をして頂けると有り難いのですが。
>123 96式陸攻 殿
外務省が97式欧文印字機を使用する際は
原稿をヘボン式ローマ字に変換する必要があり、
その際に数字は英字2字に変換(例:3→MS、6→RK)し、
その他重要な単語は3文字コード化したそうです。
米国→BKW、段落→CCF、方針→HSN、ニ於テ→PYT、etc.
以前紹介した「別冊数理科学」の加藤正隆氏の論文によれば、
暗号機本体や設計書が無くても解読が可能であると論じていましたが、
その過程には組み合わせ多表暗号文を実際に紙と鉛筆で解いていく必要があります。
平文と暗号文が混ざっていて、codeにはヘボン式ローマ字表記に有り得ない
組み合わせを採用しているので解読は可能でしょうが、
模造暗号機の配線決定に相当障害すると思います。
周期解析を済ませ相当の縦列区分ができた後に
その頻度分布がヘボン式日本語と相当違っていれば、
たぶん私は「この縦列区分は間違っている!?」と思いますよ。
何しろ「感覚しなかったことは、決して想像にも現れない」のですから。
戦後解禁された資料によれば、米国はこの一次暗号書を
「1939年にニューヨーク日本総領事館で盗写に成功」したそうです。 ,
96式陸攻,sage,02/02/02 11:08, 日本側もどこかで同じ事をやろうとして、見つかりそうになって
たまたま空いていた大きな金庫に隠れたという話がある。
ロシアへ暗号を運ぶ際、シベリア鉄道で毒を盛られたことがあった。
一人は死亡。もう一人は直前に気がつき、飲んで気が触れた真似をする。
結局日本に戻る事ができ、当然暗号も包みのまま返されたが、
コピーされたであろうことを報告。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/02 12:02, >125
>ロシアへ暗号を運ぶ際、シベリア鉄道で毒を盛られたことがあった
理論学者には想像もつかない解読法ですね。
日本側は暗号書の盗写に気付いた場合の保険策(代わりの暗号書)とかは
用意してあったのでしょうか? 旧版を使い続けても敵の思う壺だったりして。
,
96式陸攻,sage,02/02/02 23:05, >126
特に何もしてなさそうですね。
既述のイー1は、暗号書を南方各地へ配布する任務についていたらしく、
大量の暗号書を生存者が埋めたりしたが、結局掘り返されてしまったそうです。
日本軍の行動パターンとして、重要文書を焼く暇がない場合は、
持ちつづけないで土に埋める事があげられ、司令部周辺とかそれこそ
発掘しまくったらしい。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/03 02:31, >122
>で、ようやくDr. Merle A. Tuveさんの13年の苦闘の跡の追跡が終わりました。
> これだけ長い間、くろうしてこられたのが一朝一夕に判るとは思いませんが
>海の人もがんばってみますです
よろしくお願いします。codebook解読の正否判断は
「誰が解読しても実用上同じ内容に達する事」だそうです。
実はあれから解読が一気に進みました。
?付きではありますが、190個中66個(35%)解読です
理屈では無く、直感に頼って作文したようなものですが、
6時間ほどで30個ほど連鎖的に進みました。
忘れかけた頃に再考するのが吉ですね。
何時か答え合わせが出来る事をお待ちしておりますです。 ,
3枚目の木の葉 ◆LeafzDx2 ,sage,02/02/04 18:57, ショック!梅沢由香里が結婚!! @囲碁・将棋板
http://game.2ch.net/test/read.cgi/bgame/1010343642/l50
というスレから風に舞ってこちらに来ました。
木の葉は自分の意思では動けません。風に舞って2chを旅をします。
木の葉の旅先をあなたが風になって指定して下さい。
行き先決定の優先基準(木の葉到着から24時間以内)
1:URLリンク貼ってあるレスでもっとも早レスのもの。
2:URLリンクが無いレスしかない場合はその中でもっとも早レスのもの。
注:一度お邪魔したスレには、24時間以上経過しなければ行きません。
書き込み不可能なスレも対象外となります。
では風さん、よろしくお願いします。
,
3枚目の木の葉 ◆LeafzDx2 ,sage,02/02/04 18:59, 暗号の解読って難しそう。すごいですね。解読するなんて。 ,
名無し三等兵,sage,02/02/04 19:07, >>129
†††隠しページ探しゲーム【3】†††
http://pc.2ch.net/test/read.cgi/pcqa/1007920083/ ,
3枚目の木の葉 ◆LeafzDx2 ,sage,02/02/04 19:27, 風が吹いてきました。さらに未知の世界へ。ひらひら〜。 ,
名無し三等兵,sage,02/02/06 22:12, 定期あげ ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/09 00:46, 各位、「暗号」が登場したTV(ドラマ、ドキュメンタリー)や映画について
興味深いものがあればご紹介してください。 まずは私から...
「暗号を売った男たち − アメリカ最大のスパイ事件」
製作:ネットワーク・フィーチャーズ&WGBH(米国)、1989年
日本放映:NHK ワールドTVスペシャル、1989年6月6日(民法でも再放送された?)
KL-47、KW-7暗号機等の情報を旧ソ連に売ったジョン・ウォーカー達を取り上げたドキュメンタリーです。
このスパイ事件はかなり有名なのでご承知の事と思います。
・ウォーカーは非番や夜勤の際にキーリスト等の機密書類を大胆に盗写したそうですが、
それよりも彼が「身上調査書」を捏造して海軍の保安審査をパスした事の方が驚きでした。
そんなに簡単に差し替えできるものでしょうか。
・艦船の暗号室に仕事で一人きりになれるのも意外。ソ連だったら必ず2人組みにしたと思うが
隣の通信室の連中は気付かないものなのか?
・NSAは米国内の暗号機を一元管理して通信保全強化に努めたのだけど、
一旦このようなスパイ事件が起きると非常な痛手を被りますね。
・米海軍の物理保全対策もある程度は進歩したそうです。
(1)暗号機のテクニカル・マニュアルを通信士に配布するの廃止する。
(2)キーリストをフイルムのパトローネみたいな特殊の容器入れておく。
担当者は当日必要な分だけを缶から取り出すが、一旦リストを容器から抜き出すと元に戻せない。
・米国暗号界の有名人であるデイビッド・カーン、ジェイムズ・バムフォード、サイファー・ディーバーが
TVに登場して良かった。
それでは次の方、どうぞ
,
海の人,sage,02/02/11 11:18, >134
いいかんじで沈んできたのでレスしますです(笑)
>そんなに簡単に差し替えできるものでしょうか。
差し替えが簡単かどうかはともかくとして、米国の戸籍制度にもよるところが
大きいのではないでしょか。
日本の場合「戸主がいて系図の中の誰それ」という関係性の中での人定が
重視されますけど、米国の場合「そこにいる誰それはこういう人」という制度に
なってるようですし。
そういう意味で「人間を作る」ことも不可能ではないのではないかと思います
です。
>・艦船の暗号室に仕事で一人きりになれるのも意外。
これは配置にもよると思いますが、米軍の場合、通常業務に使用しない
重要な国家機密に関しては士官の立ち会いや艦長室金庫への保管が
義務づけられていますのが、通常使用の暗号に関しては、こういった措置は
運用上取りづらく、また暗号員というのも、2人も3人も乗っけておくようなもの
でもないですから(通信運用は電信員(RM)が行うので、暗号員(CP)は暗号
文書の管理・運用だけ)逆に一人配置というのも多いのではないかと思い
ます。
>・NSAは米国内の暗号機を一元管理して通信保全強化に努めたのだけど
暗号の一元化は、伝令や有線通信などが使用できる陸の上の部隊と比較
して、海軍では死活問題ですからね〜
>(1)暗号機のテクニカル・マニュアルを通信士に配布するの廃止する。
これは逆に、それで暗号員が戦死したときどないすんねやろ、と思いました。
>(2)キーリストをフイルムのパトローネみたいな特殊の容器入れておく。
これも、いかにもギミック好きなヤンキーらしいやり方(笑)ですが、この
パトローネみたいな容器自体をもってかれたり、あるいは製造工程のミスで
うまく動作しない(ひっかかって破れたとか(^_^;)を考えると、簡便で確実な
書籍式に全面的に取って代わるようなものでもないとおもいますね〜
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/11 12:33, >135 海の人 殿
レスどうも有難うございます。
>また暗号員というのも、2人も3人も乗っけておくようなものでもないですから
3直で3人が乗艦しているものだとばかり思い込んでましたよ。
これでは暗号員の方はハードワークになりますね。
>暗号の一元化は、伝令や有線通信などが使用できる陸の上の部隊と比較
>して、海軍では死活問題ですからね〜
確かにそうですね。
>これも、いかにもギミック好きなヤンキーらしいやり方(笑)ですが
とりあえずウォーカー達に盗撮を断念させる効果はあったみたいですよ。
今でも継続しているのかは私には判りませんです。
,
海の人,sage,02/02/11 15:05, >136
そうですね、手作業暗号が主流だった時代(第2時世界大戦まで)は
実を言うと通信のメインは暗号員で、電信員は単なる無線機管理と
モールス打鍵要員という位置づけであったです。
なにしろ米軍の電信員(RM)のマークは、稲妻に電鍵ですし(笑)
しかし、テレタイプと機械暗号が通信の主流になってくるにつれて
暗号員の仕事は、暗号図書や機器の保管・管理・運用(更新作業とか
日施作業ですね)がメインになって、それまで主要な任務だった
暗号化・翻訳(ciper/de-cipher)については、ごくまれに手作業暗号で
届けられる非常に機密度の高い通信の時に、その種の暗号図書を
管理している士官(教育済み)と一緒に作業する程度になってしまった
ようです。
蛇足ですが、海自についても「暗号員」という配置でありながら
ずっと「機械通信員」としてテレタイプ要員と電信員を別に教育
していましたが、最終的に電信員と機械通信員という術科を統合
して「通信員」というマークにしてしまいました。
これも、米軍と同様、信頼のできる高度な機械暗号が行き渡った
結果といえるかもしれないですね。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/11 22:06, >137
>しかし、テレタイプと機械暗号が通信の主流になってくるにつれて
>暗号員の仕事は、暗号図書や機器の保管・管理・運用(更新作業とか
>日施作業ですね)がメインになって、
納得しました。どうしてもKLシリーズのようなOFF-LINE型を操作している
イメージが頭の中にあるので。
昔読んだWAF創設期の四方山話本に信務暗号の話がありまして
電信員の方が景品交換所みたいな窓口を通して、中に居る無口な暗号員に
暗号化・翻訳化を都度依頼したそうです。
「いつもシィーンとしてるから信務暗号なんだ」の冗句が書いてあった様な...
その陸の人達も今は自動化の恩恵を受けているのでしょうね。
>これは逆に、それで暗号員が戦死したときどないすんねやろ
成る程、その様な作業分担ではテクニカル・マニュアル抜きには仕事になりませんね。
>暗号化・翻訳(ciper/de-cipher)については、ごくまれに手作業暗号で
>届けられる非常に機密度の高い通信の時に、その種の暗号図書を
>管理している士官(教育済み)と一緒に作業する程度になってしまったようです。
やはり手作業暗号はご健在でしたか。
>これも、米軍と同様、信頼のできる高度な機械暗号が行き渡った
>結果といえるかもしれないですね。
使い手が暗号機の存在を意識せずに使える程に便利になったわけですね。
と言う事は、日々の通信保全は通信員の方々のスキルに掛かっているわけですね。 ,
海の人,sage,02/02/13 08:22, >138
>納得しました。どうしてもKLシリーズのようなOFF-LINE型を操作している
>イメージが頭の中にあるので。
米軍の場合、もうこの辺は全部自動処理でCOMSEVENTHFLTが乗ることもある
空母などでは、通信室の壁面一杯に受信→機械暗号翻訳→打ち出しのテレタイプ
が並んでますです。
たぶん、いまではコンピュータコンソールになってると思いますけど(笑)
>昔読んだWAF創設期の四方山話本に信務暗号の話がありまして
WAFというと空自でしょうか、よく知ってると言うわけではないんですが
空自勤務の人に聞いた話では、空自の場合は通信員が各部隊に電報配布しに
くるそうで(^_^;
海自の場合、所在部隊が通信隊に取りに行くのとは全く逆なんで、ちょっと
笑いました、あれって帝国陸軍式なんでしょか。
>成る程、その様な作業分担ではテクニカル・マニュアル抜きには仕事になりませんね。 逆に言えば、コンピュータコンソール式でプログラムエイドがきちんと
したインターフェースをくめば、それこそ通信員全員戦死で生き残った通信士
あたりが電報起案・発信・翻訳するような場合でも問題なく取り扱いできますし
そういう極端な例によらなくても、通常業務にしめる信務要務の割合を軽減
したり、通信員の教育課程における教育時間の短縮と、ほかの技術の習得時間
の増加につながったりと、機械暗号の利点は多いです。
>やはり手作業暗号はご健在でしたか。
やっぱり無限乱数使用の多表式で、ダミー込み、フレーズ込みの転置込みで
運用できる手作業案業は最強なのではないかと。
確か戦略原潜の核発射指令は、これでくるはずですよね。
>使い手が暗号機の存在を意識せずに使える程に便利になったわけですね。
>と言う事は、日々の通信保全は通信員の方々のスキルに掛かっているわけですね。
そうですね、一般的に考えると、機械の導入によって信務保全については
例えば機械の操作を間違えるとか、規約の操作を間違えるとかいったケアレス
ミスレベルの問題になるので、今度は伝送路保全とか運用保全の方がクローズ
アップされてきますよね。
暗号化された紙テープと、元の平文のテープを一緒にぶらさげてたもんだから
テープを間違えて平文で送っちゃったりして、さらに焦って、発信を途中で止め
暗号化された方を流し直しちゃったなんて目も当てられません(笑)
海の人が経験したのでは、非常に長文の電報を送信している最中に紙テープを
ドジな海士が踏んづけてちぎっちゃったというのがありました:-p
でもベテラン(ペテラン?)なら、あわてず騒がずリップ糊で、すぐ貼り付け
ちゃうとこだとおもうんだけど・・・ばかもん、気合いがたり〜ん>横通
,
割り込み御免,sage,02/02/13 10:43, 軍事用の暗号って今はやはり公開鍵暗号が主流なのでしょうか? ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/13 20:50, >139 海の人 殿
>暗号化された紙テープと、元の平文のテープを一緒にぶらさげてたもんだから
脱線気味の質問ですが、あの穿孔テープを片手にくるくる巻いて纏めるのは万国共通ですか?
先のTV番組では器用に纏めて靴下みたいに沢山吊っていたけれど、
後で何のテープか見て判るのかしら
>140 殿
>軍事用の暗号って今はやはり公開鍵暗号が主流なのでしょうか?
割り込み歓迎ですよ(^_^)
私は素人なので現代の話はよく判らないのですが、公開鍵暗号の最大のメリットである
「事前に鍵情報を交換できない見知らぬ他人同士で暗号通信が可能な事」が
軍用通信ではさほど魅力的では無いと思います。少なくとも野戦用では使われていないのではと。
あとは認証としての利用法ですが、IFFで使っているという話は未だ聞いた事がありません。
私も知りたいので、どなたか詳しい方教えて! ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/17 00:46, 最近?のネタをご紹介。Charles R. Myer 陸軍中将のレポート、
"Division-Level Communications 1962-1973"からの抜粋です
「ベトナム戦争と米陸軍COMSEC」(その1)
<コールサインの更新>
コールサインと周波数を頻繁に更新し、地図座標にコードを用いる事は
COMSECの観点から望ましい事で有る。
多くの人が「小型で、軽量で、耐久性のあるブラック・ボックス」を使えば問題なかろうと言うが、
そんな道具はベトナムでは支給されていなかったのだ。
コールサインを頻繁に変える件については何かと問題が多かった。
1つめは「混乱」であり、第1歩兵師団第1旅団の指揮官は
「頻繁にコールサインを変えると敵よりもまず味方が混乱する」と訓話した。
2つめは乱造されるコールサインの「質と長さ」であった。
例えばNorman中佐が1970年に出会った作品は"Supreme Capon(極上の雄鶏肉)"、
「何だと、皆で俺達の部隊をチキン呼ばわりするんか!」と中佐は憤慨、
またWilliam准将は「考えてみてくれ。無線の冒頭がこんな調子で始まるんだ、
SAILING GERTA DELTA ONE ONE JULIET@` THIS MISTER IS TABOO FOUR FOUR@`
これを読み上げた後には、何の要件だったか忘れてしまうよ」と語った。
不満は多かったがベトナム戦においてもCOMSECは歴然とした課題であった。
何故ならベトコンはすぐにCOMINTを学習し始めたからである。
<ベトコンによる無線傍受>
「ベトコンの基地を掃討したら、米軍の無線機が転がっていた」のは良くあるケースだった。
彼らはB-52の爆撃を無線傍受で察知、これを回避する事までしていた。
1969年12月20日にBun Suc近くのベトコン施設で捕獲されたのは、
米軍FM無線機AN/PRC-25/77、中共製のAN/GRCコンパチ受信機、
ソニーのラジオ、パナソニックの受信機、自家製の送受信機だった。
ベトコンや北ベトナム陸軍は米軍の秘話化されていない肉声通信や
モールス通信を傍受していたのだ。
同時に捕獲された傍受要領書には、数多くの部隊や顧問団の通信プロシージャーが列記されていた。
彼らは軍事顧問団と南ベトナム軍との定例通報からも情報を得ていた。
南ベトナム軍はコールサインを固定していたし、暗号化もしなかったのだ。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/17 00:47, 「ベトナム戦争と米陸軍COMSEC」(その2)
<KY−8>
ベトナムで秘話装置が本格使用される以前、肉声通信には面倒なコード化処理が必要だった。
コードでの会話は速度や正確性を損なうため、無線士は秘話装置を望んでいた。
1965年に通信担当のKenneth大佐は本土に800台近い秘話装置が保管されているのを思い出した。
使用先が決まらずに眠っていたKY-8はマウントもケーブルも無い状態だったが、
講師と共にベトナムにKY-8を取り寄せたのがCOMSECの本格スタートとなった。
固定局および車戴用にと導入されたKY-8は1968年末には全体に行き渡った。
航空機用にはKY-28が1967年以降に運用を開始した。
KY-38は携帯用、車戴用として1968年までに全面運用された。
(参考:KYシリーズについて、webhome.idirect.com/~jproc/crypto/menu.html )
<オーバーヒート>
KY-8の欠点は熱に弱い事だった。
1969年になってもオーバーヒートによりしばしば秘話回線が不通になった。
通気の悪いバンカーに置かれたKY-8は、涼しい場所に移すまで不調だった。
冷却用に水枕をKY-8の周りに置いてもオーバーヒートは止まらなかったが、
ケースカバーを取り去ると効果が現れた。だが機密保全の観点では最悪の方法だった。
ついに第125通信隊が2台のKY-8を組み合わせて1台分の仕事をさせる方法を
編み出してからは、順調に稼動するようになった。
<KY-38>
1968年頃には歩兵中隊レベルにまでKY-38が行き渡った。
これで傍受の心配なく作戦用通信が可能とはなったが、
無線機のRPC-77と合わせると50ポンドに達する為、2人で携帯する必要があった。
1969年には携帯性が悪いKY-38は期待されたほど使用されていない事が判明した。
他方、KY-38を固定局用KY-8の代わりに使用したいとの要望が出てきた。
KY-8は大型で、オーバーヒートし易く、やかましい発電機を夜間にも動かしていたが、
KY-38は小型で、しかもバッテリー駆動だった。
1969年末にはVRC-12への接続ケーブルが300組用意され、やがて車戴用KY-8も交替された。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/17 00:48, 「ベトナム戦争と米陸軍COMSEC」(その3/完)
<付属品の不足>
秘話装置に関しての深刻な問題のひとつが、航空機や車両に搭載する為の
キットやケーブル類が不足している事だった。これはベトナムから撤退するまで続いた。
例えば使用不能となった航空機や車両から秘話装置を回収するのは容易だが、再利用は厄介だった。
ヘリコプター搭載のKY-28の場合、新しい機体が補充されても肝心のキットが付いて無かった。
<鍵の更新>
KY-28の鍵更新装置も本体の拡大運用に伴い不足し始めた。
1969年7月に第2 Field Forceは全部隊のキ−リストを統一化した。
当初の鍵の更新は毎晩0時に行っていたが、ベトコンが夜襲してくる時間帯でもあった。
また夜間行軍中の部隊が鍵更新作業を行うのも問題があり、後に朝6時とされた。
<自家製コード>
当初はCOMSECに無頓着に部隊が多く、未承認のコードも使用していた。
これは平分で送信するよりも危険な行為であった。
そこでNSAに新しいコードを要請した。支給されたコードは完璧なものでは無かったが
全部隊に浸透させる事ができた。
<認証用ホイール>
手軽な認証システムの要望を受けて、プラスチックの円盤を用いた
KAL-55B認証ホイール(whiz wheel)が登場。このシステムも多くの部隊で使用された。
<残された課題>
ベトナム戦が終わるまで肉声無線通信のCOMSECは大きな問題だった。
規定上では指揮官や部下が敵の傍受、解読を意識した通信を行うように求めているが、
この知識と実践のギャップは非常に大きかったのだ。
おしまい ,
名無し三等兵,,02/02/26 22:37, 補修
第二次大戦ネタじゃないとスレがつきませんね。やっぱ。
エニグマとか波号とかは知っている人は多いですしね。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/27 01:48, >145殿
アドバイスどうも有難うございます。それではWW2のネタをUPしてみます。
エニグマや97式欧文印字機等の機械暗号は他の方にご教授お願いしたい次第です。
WW2領域は私自身が良く判っていないので、補足・訂正、解説の程をよろしく願います。
「WW2とIBM統計機」(その1)
<コードブックの編纂>
米陸軍はWW1から野戦用コードを本格採用したが、コードブック更新には多くのマンパワーを要した。
更新期間を短くする事によりコードの強度が増すため、大戦中のドイツ陸軍は3文字コードの更新期間を
1ヶ月から10日間に短縮し、連合軍解読陣を苦しめた。
さて1931年ごろFriedmanが率いるSIS(信号情報部)はワシントンのMunition Buildingにあったが、
そこでは男性職員が机や椅子を壁に押し片付けた広い部屋で、3x5インチのインデックスカードを
宙にばら撒いてはかき集めていた。60@`000枚に及ぶカードには単語やフレーズが記入されており、
4人の職員が人手でランダムにカードをシャッフルをし、後でABC順にソートした。
SISメンバーは2年半近く、仕事のほとんどをコード編纂作業に費やされたのだ。
<海軍のリード>
もちろんFriedman達はIBM統計機の存在を知っていたが、SISはもとよりSignal Corpsも
IBMを持っておらず、新たにレンタルする予算も経済不況のために無かった。
上層部に要望書を出したが、1月半後に「資金は出せない。以上」との回答。
1934年の夏、米海軍のCode & Signal SectionがIBMを数台持っている事(Bureau of Shipsは1931年に
5@`000ドルを予算計上)を非公式に聞いたFriedmanは「耐えがたいほど悔しかった」と述べた。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/27 01:49, 「WW2とIBM統計機」(その2)
<棚からぼた餅>
その頃Munition Buildingでは補給担当部門の新物好きな士官がIBM統計機を使用していた。
レンタルした統計機は不況で職を失った青年達を支援する職安計画に用いていたが、
後任の士官がこれに興味を示さず、1935年にお蔵入りにしてしまった。
レンタル期間が数ヶ月残っている事を知ったFriedmanはさっそく借り受けたのだ。
<最初は暗号作成用>
WW2では解読利用で脚光を浴びたIBM統計機も1935年頃は作成用に用いた。
当時SISだけで8つのコードブックを編纂担当していたのだ。
War Department Staff Code、Army-Navy Code、Division Field Code
War Department Confidential Code、Radio Service Code、Air-Ground Liaison Code
Air-Force Command & Liaison Code、Army-Navy Aircraft Code
以前は4人が6週間かけて作成していたコードブック編纂を統計機は1人がたった2日で完了させた。
よって解読作業により多くの人手を向けられ、これこそがFriedmanが統計機に期待した事だった。
(続きは流れを見てUPします)
,
名無し三等兵,sage,02/02/27 09:48, 既にご存知だとは思いますが・・・暗号関連ということで。
ちなみに軍事とはあまり関係ないです。
The Most Mysterious Manuscript in the World
ttp://www.voynich.com/index.shtml
情報処理概論
ttp://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/index.html
ttp://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/history/enigma.html ,
名無し三等兵,,02/02/28 00:59, >>146
大戦中はそれこそ毎日の様に変えていた。しかし不幸な事に
通信兵も多忙な為、それこそビンゴのように一列に設定することも多かった。
また人間の感覚は不思議なもので「AAA」のようにはなかなか設定しなかった。
この事で連合軍の解読作業はかなり短縮された。
IBMの機械は日本もシンガポールで捕獲したものや、生命保険会社等が少数
保有しているものを使っていた。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/28 21:20, >148 殿
紹介どうも有難うございます。
ところでソフト上では「鼓胴回転による置換状態の変化」をどう処理しているのでしょうか?
鼓胴配線が既知の場合、1ステップ先の置換状態を数式で定義する方法や理屈が判らなくて困っています。
何か良い参考書やサイト(できれば文系に判るような)はありませんか?
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/02/28 21:22, >149 殿
>大戦中はそれこそ毎日の様に変えていた
これは146の以下に対応するものでしょうか?
>更新期間を短くする事によりコードの強度が増すため、大戦中のドイツ陸軍は3文字コードの更新期間を
>1ヶ月から10日間に短縮し、連合軍解読陣を苦しめた。
説明不足で誤解を与えてすみません。「3文字コード」とはエニグマのキーでは無く、
WW1の野戦用コードブック、Satzbuchのことです(米軍呼称はThree Letter Code@` KRU-Code)
>また人間の感覚は不思議なもので「AAA」のようにはなかなか設定しなかった。
>この事で連合軍の解読作業はかなり短縮された。
確かに人間に乱数(字)を作らせるのは難しいですね。
乱数表やサイコロを通信士に配って任意の位置から選らばさせたら、もう少しはマシになったか?
それでも偶然にAAAが出てきたら、彼らは「やり直し」するのかも知れませんね。
>IBMの機械は日本もシンガポールで捕獲したものや、生命保険会社等が少数
>保有しているものを使っていた。
陸、海軍が何台を入手できたか、詳しい所を教えて下さい。
とくにIBM統計機が解読に使える事に気付いたり、入手を試みた時期に関心があります。
「暗号を盗んだ男たち」(光人社NF文庫)によれば
陸軍は開戦直後にマニラで米軍の2台を捕獲したが用途を見出せず。
しばらくしてから暗号班に引き渡たされたそうです。
米軍はIBMを捕獲前に破壊する事は出来なかったのか?大した装置では無いと判断したのか?
日本はIBMのコピー機を量産はしなかったのか?出来なかったのか?興味は尽きませんね
,
名無し三等兵,,02/02/28 23:54, >>151
私もその「暗号を盗んだ男たち」で知った次第です。
使い出したの結構後のほうだと個人的には思いますが。
米軍も前線部隊はそこまで気が回らなかったでしょう。
第一生命とか持っていたと思いました。 ,
名無し三等兵,,02/03/01 00:16, >>151
ということはシンガポールじゃなくてマニラだったのですね。
当時の日本ではIBMの計算機は作れなかったのでしょうかね?
ただ、戦艦とかも計算機を搭載しており、弾道計算等をさせえました。
歯車が1万とも2万とも言われており、本当に暗号解読に力を入れていれば、
兵器として解読用の計算機を作ることは出来たかもしれません。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/01 21:27, >153
>ということはシンガポールじゃなくてマニラだったのですね。
シンガポール「と」マニラかもしれません。新しい情報が出てくるのを待ちましょう。
IBMは解読以外にも使用している可能性が大ですから。
ちなみ米陸軍が統計機を最初に利用したのは1888年の身体検査からだそうです。
>ただ、戦艦とかも計算機を搭載しており、弾道計算等をさせてました
恐らくアナログ計算機だと思いますが、そうだとすれば統計処理は難しいですね。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/01 21:30, 「WW2とIBM統計機」(その3)
<頻度調査>
当時の統計機はメモリー容量が乏しく、論理処理機能も限られていたが
SISやOP-20Gにとっては大量のパンチカードを区分し、ソートする機能が
解読に重宝した。初期段階の研究として「言語の頻度調査」が行われ、
大量の平文を単語毎にパンチ、ソートする事で各単語の頻度を
アルファベット順に作表できた。同様に単文字、2字綴字にも応用した。
<Indexes>
もう1つの用途がIndexes(catalogues)と呼ばれる作表だった。
SISのSamuel SnyderとLawrence Clarkが自動的にオフセットしながらカードを
パンチする機能を用い、暗号文のグループから共通に反復する文字、文字列を
抽出したのだ。
例えば1枚目のカードに暗号文の1〜50番目の文字をパンチ、
2枚目は51から100番目とパンチしていく。
この作業にはキーパンチャーの人海戦術が必要だが、
一旦完成すると後はIBMが引き受けた。
Snyderらが編み出した方法により、2〜51番目、52〜101番目、
3〜52番目、53〜102番目にオフセットされたデータが機械的に再パンチされるのだ。
これらをまとめてアルファベット順にソート、印刷すると反復・連接特徴を
容易に読み取る事が可能だった。
補足:
WW1でSatzbuch解読に取り組んだFriedman達も同様の作表をしました。手作業です。
>106
>そこで00101を2番目に含み、かつ1番目と5番目が同一である6つのグループを発見しました
これもIndexesの応用でKey Word In Context Indexと呼ばれるものです。
私はExcelでソート、抽出しました。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/01 21:33, 「WW2とIBM統計機」(その4)
<Double Hits>
最も解読作業で統計機が貢献した作業は敵のenciphered codeを縦列区分するために
Double Hitsを探すことだった。
つまり2つのコード暗号文を2段に重ね、同じcode groupが上下で重ねる位置を探したら
他のcode groupが別の場所で重なっていないかを調査をした。
Double Hitsした2つのコード暗号文は同じplain-codeが同じ乱数でencipher
されている可能性が高い。これがD暗号等の乱数剥ぎ取り作業に繋がっていくのだ。
具体的には各暗号文の冒頭から6つのcode groupを1枚のカードにパンチしてソート。
冒頭は紋切り型になりやすいので同じplain-codeが高確率で重なり、作業効率がUPした。
<IBMは大儲け?>
真珠湾攻撃の時にはSISは13台を利用、1945年には約400台に増加した。
OP-20-Gは1941年1月時点で16台、1945年のは200台に増えた。
ピーク時には両組織で年間100万$のレンタル料金をIBMに払っていた。 続く
補足:統計機と聞くとIBMを連想しますが、戦時中はEastman Kodak社やNCR社も
「特注統計機」を米海軍向けに製作したそうです(陸軍はIBMオンリーだったのかな?)
関連ネタを「軍事とコンピュータ」スレの>116-130にUPしてあります。ご参考まで ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/01 21:34, 私はD暗号の解読理論については、長田 順行先生の「暗号」(現代教養文庫)を読んで
一致反復率(κテスト)による縦列区分方法を知りました。
でも良く考えると、米国にデジタルコンピュータが無い時代に膨大なcodeを片っ端から
κ値を求めていくのは困難で、もっと実用的なショートカットが有ったと言う事でしょうか?
勿論、Double Hits後の検算にはκテストが必要だと思いますが。
ここら辺の事情(史実、理論)に詳しい方は居られませんか?
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/07 20:33, 「WW2とIBM統計機」(その5)
<英国の評価>
当時GC&CSはIBM統計機を用いた米国の手法に疑問を持っていた。
責任者のAlastair Dennistonは1941年訪米した際にこう報告している。
「彼ら(米軍)は人間よりも機械にかなり頼っている。この方法は上手くいかないだろう」
だがAlastairの予想に反して、終戦までにIBM統計機は以下の戦果を成し遂げたのだ。
・1943年以降、日本陸軍の解読により彼らの部隊と船団に打撃を与えた。
・1942年3月から日本海軍の主要暗号書、JN-25の解読を継続できた。
・解読不能と思われた2種類の独外務省コード"Floradora"と"GEE"を解読。
・ソ連のOne-time Padシステムの解読(VENONA計画)
<Floradora>
米軍が"Keyword"と呼んだ独外務省コードは「二重」に乱数処理されていた。
10@`000個の乱数が印刷された表から、担当者が2箇所から選んだ乱数列を合成し、
これをplain-codeに加えていた。5000万(=10@`000x10@`000/2)種の乱数列を用いる為
ドイツはFloradoraを解読不能と見なしていた。
だが1940年5月に英軍がIcelandを占領すると、独領事館からFloradoraのcodebook捕獲に成功。
数ヵ月後に独外務省はcodebookを更新したが、今度は米軍がベルリン-南米間の外交嚢から
掠め取る事に成功した。肝心の乱数表についてはフランスで盗み出した暗号ワークシートから、
乱数表の0.25%程度は判明したが、これでは役に立たないとGC&CSは思った。
<1/40@`000>
だが1939年頃からベルリン-南米間の外務省通信を傍受してきたSISは諦めなかった。
「極僅かな乱数列だけでも無いよりましだ」と考えた彼らは約2@`500個の合成乱数を全てをパンチした。
この乱数が利用できる確率はたった4万分の1である。実はブラジルの独大使館では担当者が
毎回乱数を合成するのに嫌って、乱数を同じ行から何度も使い回していた事が後に判明した。
解読責任者だったSolomon Kullbackは件の担当者を”a lazy son of a bitch"と酷評した。
(でも受信側が乱数の偏用に気付いたはず、何故彼に警告をしなかったか?) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/07 20:37, 「WW2とIBM統計機」(その6)
<成せば成る>
まずKullback達は捕獲したcodebookから高頻度のplain-codeを12個選び出すと、
各codeに合成乱数を片っ端から加えていく事で、計30@`000個の仮想暗号文を用意した。
IBMは日々パンチされた傍受暗号文と仮想暗号文を見比べ、約25万箇所のHitを吐き出した。
後はIndexを作り、Double Hitsを探す事で縦列区分の目処がようやくついたのだった。
<Captain Johnson. Floradora. We DOOD it>
1年後には米英間でFloradora情報の共有が進み。
乱数開始位置の秘匿方法も判明、解読は加速された。
そんなある日にGC&CS宛てにモザンビークの領事から小包が届く。送り状には
「これは船員が私の荷物と間違えたドイツ領事の外交嚢です。お役に立つでしょう」 と書いてあり、
開始位置秘匿用keyが3ヶ月分もあった。おかげで1943年2月15日には完全解読に達したのだ。
<オートメーション>
さらにSISはFloradoraの開始位置判定を自動化させた。
つまり開始位置が判らない暗号文であっても冒頭や末尾の2語を推定する
(署名やBERLIN STOPが多い)事で相等する合成乱数が得られる。
この作業には統計機のオプションであるCollator(照合機)が大活躍した。
つまり1億枚のパンチカードを作成し、順に正解を探すのは事実上不可能だったが、
合成する前の乱数をパンチしたカード10@`000枚を2山用意、数字順にソートして
Collatorで互いに重ね合わせて乱数を合成、照合した。開始位置は2時間足らずで判明した。
(続けて良いのかな?)
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/07 20:41, さて話は変わりますが、
別冊歴史読本 戦史シリーズNo41.「太平洋戦争情報戦」(新人物往来社)の
岩島 久夫氏の論文「解読されていた日本暗号。陸軍暗号は安泰だったのか?」
を読まれた方はおられますか
陸軍暗号の米軍解読を巡り岩島氏(海軍)と釜賀氏(陸軍)が対立しているのですが、
暗号解読の定義で両者のご意見が分かれているようです。
勝てば官軍は暗号の世界も同じですが、戦中には暗号保全理論、実務に尽力され、
戦後も貴重な執筆活動をされた釜賀氏の経緯に岩島氏も文中で敬意を示して欲しいと思いました。
皆様は岩島氏の以下の論調を素直に同意されますか?
第一、暗号「解読」は合理的であろうと非合理的であろうと、すべて「盗む」ことから始まっている。
つまり解読の「鍵」「ヒント」は、人知のあらゆる力を動員し、それまでの存在するデータを
集める努力の中から与えられた。日本外交暗号も海軍暗号もそうした努力の産物として
解読されたのであり、英語でいう「クリプトアナリシス」もこの事を否定していない。
例えば英国のドイツ「エニグマ」暗号解読は、ドイツ暗号機を盗む事で可能となった。
「解く」と「読む」を分けるのは詭弁である。 ,
名無し三等兵,sage,02/03/07 22:24, 結局戦争の道具ですからね。勝てば官軍だと思います。
暗号の強度というのは暗号そのものの強度は当然ですが、保管状況や暗号機の
保全、暗号員の教育、秘密保持等全ての要素が統合されたものだと思います。
その意味では、日本にしろドイツにしろ甘かったのではないでしょうか?
自軍の暗号が読まれるわけ無いという事に安心するあまり、敵の暗号解読も
それほど力を入れてないわけで。
アメリカとかは実際に他国の暗号を解読してるだけに自軍の暗号の保持にも
相当注意を払うべきだと気づいていたのでしょう。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/08 00:43, >161殿 レス有難う御座います
>その意味では、日本にしろドイツにしろ甘かったのではないでしょうか?
逆に「どうすれば暗号戦争に勝てた」のかが気になります。
私は「甘い」のひと言で済まされないハンデキャップが
当時も今も日米間に有るような気がします。
それが何であるかは私も上手く説明できませんが、
恐らく暗号を「陰」に捉える日本文化では無いかと ,
名無し三等兵,,02/03/08 23:01, 良くも悪くも日本は戦争慣れしてないのでは。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/09 02:07, >163 殿
経験、それも成功(勝利)経験が大事という事でしょうか。
その説明で納得はできますが、戦後も延々と影響を受ける訳なので
ちょっと物悲しいですね。
,
名無し三等兵,,02/03/09 19:07, 外交の手段の一つに軍事があるという認識が日本にはない。
アメリカには大いにあるので、平時も暗号解読とか地道にやっている。
日本は軍事のみで独立していて、それもドンパチ戦うのが軍事だと
今なおそう認識されている。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/09 22:56, >165殿 その様な理由からですか
また何か有りましたら教えてください。お勧めの書籍なども募集中です。
なおsage進行して頂けたら有り難いです(マジネタを嫌う方も居られますので) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/09 22:58, 「WW2とIBM統計機」(その7)
<陸軍暗号書 第4号>
1944年1月、ニューギニア戦線でオーストラリア側が4数字汎用暗号書の捕獲に成功した。
第4号は1943年6月に使用開始、45年1月に5号に更新。43年9月頃には理論解読が始まっていた。
いったん捕獲した暗号書、乱数表等を全てカードパンチすると後はルーチンワークだった。
(1)前線で傍受された暗号文は無線テレタイプでワシントン郊外にあるSIS本部に転送。
(2)本部では穿孔テープからパンチカードに自動変換。
(3)暗号文カードから乱数を剥ぎ取ったカード(Plain-code)をパンチ。
(4)各codeの語彙(英語)カードをCollatorが抽出した後、英文として印字。
こうして暗号書は日本陸軍が予想した以上に米軍に読まれてしまったのだ。
(第4号捕獲の経緯を知っておられる方は教えてください。
ところでcodeにはcipherに比べて「解読上の語学障壁が少ない」という弱点があるようです。
仮に111が「一」だとして、解読者が111は数詞の1でないかと思えば素直に「one」とパンチすれば良く、
解読者が「一、壱」の漢字や発音を知らなくても致命的な障害にならないのですから) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/09 22:59, 「WW2とIBM統計機」(その8)
<統計機の改良>
SISは統計機を多数確保したが、その「メモリー」とは単なるカウンターが数個付いているだけだった。
彼らはこの点に不満を持っていたが、リース契約には「内部配線に手を出さない事」が盛り込まれいた。
だがその昔Frank Rowlett達は誘惑に負けて統計機のカバーをこっそり外してしまった。
彼らはIBMサービスマンの不在を確かめるとドライバーと半田鏝で改造を行い続け、
やがて戦争が始まるとIBMから改造の承諾を取り付けた。
他方、米海軍も1942年2月にIBMと交渉して改造自由の統計機を技術サポート付きで入手。
やはりIBMも年100万$の顧客には寛容だったのか。
<add-on units>
米陸海軍が行った性能強化はリレーによる演算機能を持った改造機だった。
・2枚のカードから、値の引き算を3番目のカードにパンチする機能
・Double Hits検索作業を自動化する機能
・最大250個の高頻度plain-codeを登録し、数千通の暗号文から同じ乱数列で処理された箇所を探す機能(Slide Run Machine)
これらの付加機能開発が新手の独外務省コード"GEE"解読の決め手となった。
GEEはFloradoraと同じcodebookを使用したが、その乱数表には理論上解読不能と言われる
One-time Padを採用していたのだ。(続く) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/10 23:09, 「WW2とIBM統計機」(その9)
<GEE>
1940年にI.G. Farben社のWofff博士は暗号書を南米大使館に運んでいたが、
哀れな彼は道中のパナマ運河にてFloradora暗号書を米国側に盗まれてしまった。
そして3@`651頁にも及ぶGEE用One-time Padも一緒だった事が取り返しの付かない悲劇となった。
理論上は米軍が解読できるGEEは3@`651頁分だけであり、その他の部分は攻略不可能のはずだった。
もしGEEが真の乱数を用いてたのなら。
(補足:暗号上の乱数に必要な条件は、条件2までをクリアする事だそうです。
条件1:見かけ上ランダムである。すなわち既知の乱数(統計)検定に合格する事。
条件2:予測不可能である。つまりコンピュータでも「次の」乱数がどうなるか計算できない事。
たとえ乱数生成アルゴリズムや装置、以前の乱数系列を解読側が全て入手した場合であっても。
条件3:そして究極の乱数とは再生不可能である。ブラックボックスに「その製作者」が可能な限り
同じINPUTを2回続けても、OUTPUTからは全く無関係な乱数が2組出てくる事を指す)
<見た目は乱数?>
IBMに捕獲、理論(推定)を問わず回収された乱数とその印刷箇所(頁、行、列)情報を全て投入したところ
5桁の乱数字群が理論上(1/100@`000)より3倍以上の高確率で使用されている事が判明。
SISの解読チームはGEEの乱数が予測可能ではないかと考えた。
最も重要な発見は、異なる頁間で同じ位置の乱数字が重なるケースが多い事だった(以下に例を示す)
93773 52386 02249 47379 36735 21746 49757 28387
80770 60319 02263 67377 66635 29742 79757 28357
SISがそのからくりに気付いたのは1945年1月である。
つまり各頁ある48個の乱数字群(240個の数字)は回転式の印字ドラムが一度に印刷したもので、
頁が代わる度に各桁のポジションが複雑に、しかし予測される規則でスライドすると推定された。
印字規則を解明すると統計機に予測乱数発生装置を連結し、解読は機械化された。
1945年当時ワシントンだけで110人が解読に携わり、GEEから貴重な情報を回収できた。
例えば当時存在が知られていなかった新型中戦車や自噴砲を日本軍が投入し始めた事である。
(「新型中戦車や自噴砲」とは具体的に何の事でしょうか?
また解読によって存在が判った新兵器は他に例はあるのでしょうか?
あと旧日本軍の乱数表はどの様にして作成したのでしょうか 乱数サイコロやカード?)
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/10 23:12, 「WW2とIBM統計機」(その10/完)
<VENONA>
1943年頃から米国はソ連外交暗号の解読を取り組んだ。
ソ連もOne-time padsを使用していたがGEE解読経験がVENONA計画を進ませた。
モスクワと通商使節団の間で飛び交う暗号文に挑戦したのはシカゴ大学で考古学を専攻していた
Richard Hallock教授だった。彼のチームは10@`000通の暗号文の冒頭部全てをカードパンチして
Double Hits検索作業を行った。そして僅かであるが乱数が2回使用されている事実に気付いた。
実は1942年頃からKGBは戦時の需要に応じきれなくなり、乱数表をコピーして再製本していた。
その後数年で傍受した750@`000通では30@`000頁相当が再利用されていたのだ。
<RAM>
戦後、統計機よりも数百数千倍の速度で検索する装置を目指して
"Rapid Analytic Machinery"の開発がスタートする。
RAMはパンチカードの代わりに写真フィルムを用い、光電管でDouble Hitsを検索した。
RAMに比べてIBM統計機は確かに鈍重で能力が限られていたが、
戦時中に利用できた事実こそが枢軸国暗号解読への輝かしい貢献となった。
おしまい。
(また機会があれば、WW2太平洋戦線関連のネタに挑戦して見ます。
ただ私の資料は殆どが米軍視点な故、誇張や情報操作があるかもしれません。
どなたか日本軍視点で書かれた、特に当事者の心境が判るような日誌や手記ネタが
ございましたら情報提供願います)
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/12 22:57, すみません。出典書くのを忘れてました。
「WW I・英陸軍の暗号保全メモ」は
"THE BRITISH ARMY AND SIGNALS INTELLIGENCE DURING THE FIRST WORLD WAR"
John Ferris編、ARMY RECORDS SOCIETY
ISBN:0-7509-0247-7
※他にも「暗号解読」「交信解析」「交信欺瞞」「有線盗聴」の章があります。
「出題編」は
"SOLVING GERMAN CODES IN WORLD WAR I"
William F. Friedman著、Aegean Park Press、1977
ISBN:0-89412-019-0
米陸軍系の文献に興味の有る方にはお勧めの出版社です(創始者が元SISメンバー)
機密区分解除された図書をフルコピーで出版するのが有り難い。
www.aegeanparkpress.com/
「WW2とIBM統計機」は
季刊暗号雑誌"CRYPTOLOGIA"@`Vol.25 Number 4@` 2001@` p241
"Codebreaking with IBM Machines in World War II"
Stephen Budiansky著
ISSN:0161-1194
※25年も刊行している老舗暗号誌。David Kahnも編集者の一人です。
ネットワーク系暗号は少なめで、軍事・諜報暗号、古典暗号がとても多め。
毎号に暗号関連文献のレビューが掲載されているのが非常に役立ちます。
www.dean.usma.edu/math/pubs/cryptologia/
印刷元はWest PointのMilitary Academyですが米軍の影響は無い(と信じたい)。 ,
名無し三等兵,保全age,02/03/14 04:10, 濃いいですねー
先にでてた暗号の例題に取り組んでみましたが,
残りの単語がが出現回数1回とか2回になるとどうにもならないです‥‥. ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/14 19:46, >172 殿
おお!やはり神様はおられましたか。書き込んで本当に良かった(^_^)v。
>残りの単語が出現回数1回とか2回になるとどうにもならないです‥‥.
そこまで到達したのですか。ぜひ解読プロセスを教えてください。
まずは私の最新状況から・・・
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/14 19:47, 「挑戦編」(その10)
<messageとの連接語>
良く観れば前後で未解読のcodeが未だ残っていました。messageは都合9回登場
[1/001] message one five stop to general SMITH
[2/001] message three stop for general DAVIDSON
[2/014] stop 00602 53608 message 17451 stop 32157 49233
[3/001] message number sixteen stop for
[3/013] 19018 01829 31489 32157 message 17451 18220 s 36161
[4/001] message four to general DAVIDSON
[5/001] message number five for general DAVIDSON
[6/001] message six to general DAVIDSON
[6/010] DAVIDSON stop 06911 32157 message five stop 52215 21220
後連接の17451は此処にしか登場しないので数詞です。
・どちらも先頭では無く、過去message Noへの言及と思われる位置
問題中ではSMITH宛てのNo.15とDAVIDSON宛てのNo.3が該当
・fiveのすぐ前に出てくる「fi」で始まる数詞
よって17451 = fifteen
反対にmessage fifteen へ前連接し易い単語として
32157 = ourと53608 = yourが期待されます。
・No.1(Davidson)への言及としては自然な人称形
・それぞれ7回、5回と文中に散らばって登場。
・Penguin辞書との対比ではourはずばり命中、yourは5頁相当のズレ
・stopの直前には無く、逆にstop直後、1語後に良く登場する(冠詞の特徴)
・名詞および名詞と思われるcode直前にある(連体詞)。
特にour/your + 未確定code + 「s」のパターンが4回有り、これは複数形のsか?
・既に確定したforの直後にyourが登場する。
<yourとの連接語>
[1/034] 31689 48102 stop 25352 your 18337 s 31689 01393
[1/046] 36659 01284 46424 for your 18337 s stop 25352
[1/071] 03230 to 32356 40057 your 35436 s 50924 i
[2/016] DAVIDSON stop 00602 your message fifteen stop our 49233 s
[2/040] 23262 37566 10129 53018 your 21323 stop 02194 47169
18337はforceで問題無いでしょう
・毎回後ろにsが付くので名詞
your 18337 s 31689
your 18337 s stop
38931 18337 s stop
15474 18337 s 31110
・for(18324)とfour(18567)の間に配列
・複数形は「単数形+s」
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/14 19:49, 「挑戦編」(その11)
<〜ing>
i+n+19073 の3連接パターンが同じ通信文に3箇所あります
[1/027] 47728 15474 24825 34719 i n 19073 to 03222
[1/079] your 35436 s 50924 i n 19073 47169 s
[1/105] d 01934 six 29284 i n 19073 stop sign e d
19073 = gでは無いかと思われます。
・inの直前(29284や50924)は動詞?
・19073の直後で切れ目がある
・gで始まる単語?
さらに[1/105]で1回だけ登場する29284はmissだと思います
・mで始まる動詞で、messageより後ろ
・文章の前後が数詞+動詞+ingを繰返すのは戦果や被害の紋切り型の報告?
・missing自体がpenguin辞書に載っているのが気になるが、
同じ暗号手が処理しているので「悪い癖」とも考えられる。
<and>
stopとstopの間隔が長いのでandを探してみると
aで始まりそうで8回登場する01934に注目します
[1/102] sixteen 53314 e d 01934 six 29284 i n
[1/084] n g 47169 s 01934 23825 stop 07411 38827
[2/028] 04382 37022 31689 01393 01934 52215 02642 35854 d
[2/056] 04382 37022 23262 35436 01934 52215 02642 09769 31489
[2/078] 13864 30472 29702 01781 01934 19275 stop 24825 24871
[3/045] 30780 15012 53664 53664 01934 01453 13851a 25689
[4/071] 21220 00730 13915 s 01934 31176 s 03031 e
[6/041] g 27312 31689 01781 01934 15474 21165 27569 four
直前、直後が殆ど未解読ですがandと仮定して進めてみます。
・文の先頭や連続して登場する等の文法的な違和感が無い
・[4/071] は複数形のsが付いた名詞の13915と31176に挟まれて登場
・[1/084] @`[2/078] はstopの2個前の共通パターンを示す
・直後に登場する52215、15474はstopの直後に多く出ている
・stop直後に出る単語はand直後にも登場する可能性がある。
<sixteenとsonの間>
42958 = sixteen
42959 = ?
43858 = son
sixteenの直後に来るのはsixtyでしょう。
以下の2回しか登場しませんが、興味深いパターンを構成します
10129 53018 sixty 06058
10129 53018 sixty 06058
数詞は「第○○連隊」等の特定のパターンを組み易いので可能性はあります。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/14 19:51, 「挑戦編」(その12)
ここで行き詰まったので手法を大幅に変更しました。
これが大当たり。今まで私は何をやっていたのやら。情けない
1.高頻度のcodeは高頻度な単語を取りあえず当てはめ、後で理屈を付けてみる。
もし、おかしいと思えば次候補を探す。
例:are@` attack@` enemy@` have@` of@` on@` we@` with
2.全文中にただ1回しか登場しないcodeは大胆に「作文」してみる
例:accept@` east@` headquarters@` kill@` troop
3.その結果、文の中央部も読めてきて、呼びかけ→応答部分が判ると
自然に連鎖的に解読が進みました。
例:cancel@` contact@` just@` radio@` lost@` plan
また文中で解読済みのcodeで前後を挟まれるケースも発生。
4.虎の巻の補正
Penguin英英辞書は最大10頁程の偏差がcodebook側と生じているのですが、
やがてその偏差も局所補正できるようになりました
例えば「f」で始まる単語は、計算値から7頁程戻って候補を探し、
「o」で始まりそうな場合は計算値±1頁で探すと命中し易い。
5.翻訳ソフトの活用
英英辞書は言い回しを探すのには向いていません。
そこで手持ちの翻訳ソフト「IBM 翻訳の王様 辞書ツール」を利用して見ました。
例えば、messsage No2 に以下の未解決センテンスがありました。
pで始まりそうな動詞?+on?(高頻度だから)+alarm?(大胆な仮定)+and(確証あり)
そこで翻訳辞書ソフトに「pで始まる動詞+on」を色々とインプットさせた結果、
「put on alert = 警戒体制におかれる」が登場。
英語に疎い私には強力な援護となりました。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/14 19:55, 「挑戦編」(その13)
ここまで解読できたcodeが190中69個(36%)です。
全文中では565個中399個(71%)に何らかの単語、音節、文字が埋まった形になります。
?付きは思いつきで当てはめ、6時間ほどで連鎖的に解読が進んだcodeです
00101 = a
00602 = accept?
01393 = alert?(翻訳ソフトのお陰です)
01934 = and
02642 = are?(最初はarmyかと。weが判れば自動的に)
03222 = attack?(これを仮置きしないと話が見えませんでした)
04382 = been?(haveが判れば自動的に)
06058 = brigade?(適当です)
06911 = cancel?(訂正通信だとの仮定が命中)
10129 = contact?(最初はco-operateと思いました)
11719 = d
14756 = e
14816 = east?(適当です)
15474 = enemy?(取りあえず置いてみるのが吉でした)
15965 = establish?(適当ですが、文意は通じます)
17451 = fifteen
17718 = five
18324 = for
18337 = force
18567 = four
19073 = g
19379 = general
20795 = h
21220 = have?
21282 = head?
21323 = headquarters?(head+quarterの分かち書きがヒントに)
22337 = hour?(かなり無理があるか?)
22762 = i
23262 = in?(〜ingをin+gにした形跡が見えたので)
24825 = is?(最初は it にしたので混乱した)
25278 = just?(他が埋まると自然に口から出てきました)
25352 = keep?
25474 = kill?(1回しか出てこないが、定型被害報告パターンから)
27262 = lost?(適当ですが、文意は通じます)
27521 = m
28715 = message
29284 = miss ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/14 19:56, 30249 = n
31142 = number
31222 = o
31489 = of?
31689 = on?
31705 = one
32157 = our
34179 = plan?(適当ですが、文意は通じます)
37022 = put?
37210 = quarter?
37566 = radio?(radio contact with はフレーズ化が必須ですね)
40057 = run?
40209 = s
42707 = sign
42953 = six
42958 = sixteen
42959 = sixty(sixtiethかもしれませんが特に悪影響は無い)
43858 = son
43872 = soon?
45504 = stop
46896 = t
48001 = three
48332 = to
49233 = troop?(適当です)
49653 = twenty?(twelveかもしれません)
50920 = urban?(適当です)
50924 = use?
50932 = v
52215 = we?(最初はwhat、whenかと思いました)
53018 = with?
53314 = wound?(要はkilledとmissinngの中間だろうと)
53608 = your
以上
172殿 採点の結果は如何でしょうか? 心臓がもうドキドキ状態です
,
名無し三等兵,,02/03/30 13:04, エニグマに興味があるなら、ぜひともフォート・ミードの National Cryptologic
Museumに行かねば。場所はNSA本部の隣。ワシントンDCから車で1時間。
なんてったって、本物のエニグマがゴロゴロしてるし、97式欧文印字機はあるし、
日本版エニグマ「三式換字機」なんてもんまで置いてある。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/30 21:14, >179殿
>エニグマに興味があるなら、ぜひともフォート・ミードの National Cryptologic
>Museumに行かねば。
私は金と根性が無くてNCMは訪れておりません(悲
エニグマよりもハーベストの方に萌えているのですが、写真を見てため息をついております。
日本にもレベルは問わず暗号博物館(できれば公式なもの)が是非とも欲しいですね
まずはWEB上でも良いから防衛庁に実現してもらえないものか? ,
179,sage,02/03/31 01:21, 日本の場合、終戦のときに書類も機材もあらかた破壊しちゃったみたいだから、
ネタがなくて大変かも。
フォート・ミードにある97式も、どこから見つけ出したのか凄く興味ある。
一説によると、ベルリン陥落時に日本大使館の地下から掘り出したとかいうん
だけど… ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/31 11:11, >179殿
>日本の場合、終戦のときに書類も機材もあらかた破壊しちゃったみたいだから、
>ネタがなくて大変かも。
でも個人で密かに持っておられるケースもあるのでは?
数学研究会の機関誌(第1、2号)も運良く残ったそうですし(今何処にあるのでしょうか)
米国捕獲品を複写、複製する手もあるでしょう。
個人では無理でも政府が行えば意外と集まるのではと思います。
>一説によると、ベルリン陥落時に日本大使館の地下から掘り出したとかいうんだけど…
何故、組み合わせ多表の心臓部であるロータリー・ラインスイッチだけが
残って(捕獲されて)いるのか不思議ですね。 ,
179,sage,02/03/31 12:50, それが、どこでどうやって手に入れたのか、NCMにはフルセットの97式印字機
(というプレートが付いているのをこの目で見た)が置いてあるんですね。
ロータリー・ラインスイッチ部分とは別に。
さすがNSAと感心するけど、どこで手に入れたのやら。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/31 18:11, >179殿
97式の派生機種でJADEと呼ばれるカナ文印字機がフルセットで存在するのは本で
知りましたが、欧文印字機(PURPLE)がフルセットであったのは知りませんでした(恥
それにしてもNCMを見学された貴殿が羨ましい限りです。
現地の模様や後日訪れる人へのアドバイス等を頂けたらありがたいのですが ,
179,sage,02/03/31 18:18, 場所や道順なんかはNSAのWebに載ってるので、おいておくとして…
NCMの近所には何もないので、レンタカーを借りて行かないと行けない
ような場所です。タクシーの運ちゃんに「フォート・ミードまで」なん
て言ったら乗車拒否されそうだし (笑)
場所が場所なので、あまり怪しまれそうな外見と行動は慎んだ方がいい
かも。それと、近所に飯を食えそうな場所がありません。
アナポリスからもそれほど遠くないので、ホテル代や消費税が高いDCよ
りも、ボルティモアかアナポリスに宿を確保して、まとめて訪ねるのが
いいかも。あるいは、バージニア側のペンタゴン近くに宿を取るとか。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/31 18:59, >179殿
貴重なコメント有難うございます。
,
名無し三等兵,sage,02/03/31 21:58, エニグマ関連・・・
Kojii.net - 取材メモ 1 : National Cryptologic Museum
ttp://www.kojii.net/works/memo01.html ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/03/31 22:36, >187殿 有難うございます
>流石に日本人の名前は見当たらなかった。
やはり少ないのですね。
>「日本海軍の 97 式印字機のフルセット」
これは海軍武官用ですか? 詳しい内容希望します。 ,
名無し三等兵,sage,02/03/31 23:24, >>188
どうなんでしょうか・・・私も行ったことはないので・・・
NSA National Cryptographic Museum
ttp://h2np.net/photo/NSA2001Aug/ ,
名無し三等兵,sage,02/03/31 23:29, 途中で送信してしまった・・・
パープル暗号機(97式欧文印字機)
ttp://kamakura.cool.ne.jp/iwaoiwao/purpleango.htm ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/01 21:20, 頂いた(179-190)情報を整理すると、真実は以下の通りですか?
外務省:JADE、97式印字機、フルセットで捕獲、捕獲経緯は不明、昔はPURPLEだと誤解(私だけ?)
印字は欧文(英字)タイプライター。ロータリー・ラインスイッチが5組構成。
//h2np.net/photo/NSA2001Aug/のJADEの正面写真(4列目左端)を見ると
立てかけた本体カバーに銘板(写真の真下)がついてます。上段が「九七式印字機」と読めるような気が…
179殿、JADEのラインスイッチの回転はやはり距離計のように5組全てがワンパターンで駆動するのでしょうか?
海軍:PURPLE、97式「欧文」印字機?、ロータリー・ラインスイッチが1組捕獲、捕獲はベルリン大使館地下?
こちらも印字は欧文(英字)タイプライター? ロータリー・ラインスイッチは3組構成?
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/02 23:55, >184,191はどうやら私の早合点のようですね(大恥
NCMに展示されている暗号機「JADE」と「PURPLE」について整理するために
ロータリー・ラインスイッチを用いた日本暗号機についての資料を4つ見つけました。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/02 23:57, 資料1.「ながた暗号塾」、長田 順行 著、朝日新聞社、1988年、p262〜
>九七式には、一型(大型艦用)、二型(小型艦用)、三型(駐在武官用)の三種があった。
>一,二型の入出力が仮名50文字であるに対し、三型では英字二六字。
>例えば一型は太平洋戦争開戦時の連合艦隊旗艦「長門」にも装備されたが、
>ほとんど使われたことはなく、事情は二型も同様だった。
>最もよく使われたのは、要請を受けて海軍省から外務省にも供与された三型である。
>しかし、外務省のものは、暗号原理は同じであっても、その一部の機構が簡略化されていた。
>日本外務省はこの機械を「九七式欧文印字機」と呼び、またA型と呼ばれた九一式に対して、
>「B型」ともいった。
(中略)
>まず甲群・乙群・丙群として各二五表、計七五表の換字表を準備する。
>各表の暗字配列は不規則なものを選び、甲・乙・丙の関係は、二五進法の
>ナンバリング方式を採用する。
(中略)
>その周期は25^3=15@`625で繰返すことになる。さらに、入力側には変更可能な
>プラグとジャックがあり、出力側には手動で変更が可能な丁群(25表)があった。
(つまり九七式欧文印字機にはロータリースイッチが4組ある?
どなたかPURPLE模像機の内部構造から検証できる方はおられませんか) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/02 23:58, 資料2.「暗号はこうして解読された」、原 勝洋、KKベストセラーズ、2001年、p38〜
>外務省は海軍技術研究所に委託して、外務省設計による固有の暗号機三〇台前後を
>製作している。この暗号機は(中略)、九七式印字機と呼称され、欧文と仮名文字を含む
>四種が完成した。
(中略)
>九七式欧文印字機は外務省用と三型の在外欧米武官用の二種があり、
>配線並びに文字の配列などの構造が全く異なっているうえに使用規定も全く違っており、
>外務省用印字機が解読されても在外欧米武官用の三型は解読されないように設計されていた。
>九七式仮名文字印字機一型は艦隊司令部及び通信隊用、そして二型が戦隊司令部及び
>通信隊用に使用された。
>九七式和文印字機は鎮守府、中央の軍需関係の電文に使用され、一日平均一通から
>二通程度しか使われなかった。
(「九七式?印字機」は日本全体で計5種類、海外に2種、国内(艦載含む)に3種があった。
その内の2つがJADEとPURPLEでしょうか。
ちなみに、この本は書店に行っても見かけませんね。購読された方おられます?) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/02 23:59, 資料3.「別冊数理科学 暗号」、サイエンス社、1982年、p134〜151
「米国における日本機械暗号解読 その経緯と理論的考察」、加藤 正隆 著
注:使用法や解読理論は省略してあります
>米国側が紫暗号(日本海軍で正式名97式欧文印字機と称する機械暗号)の解読経緯に
>従って暗号学理的な検討を行い、反省資料を得て
(中略)
>この97式欧文印字機は(中略)同時に同じ原理・機構で作られた和文字暗号機(海軍部内連絡用)
>に対してローマ字を使用するので欧文印字機と命名された。
(中略)
>実物を見せてもらいその暗号原理および使用法について詳しく説明を受けたのは昭和19年秋の
>ことであった。第一感として危険を覚えたので、学理的な検討を行った結果、そのままの使用は
>きわめて危険であるとの結論を得た。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/03 00:01, >この暗号は単文字を基本とする多表式換字暗号を機械化したものである。
>このために大別して二つの方式がとられる。一つは機械的な方法によって
>多数の換字表を作り出して、これを逐次使用していく方式と、
>少数一定の換字表を作っておいて、これを不規則な順序に使用する方式とで、
>前者を順変多表式、後者を乱変多表式という。
(中略)
>この暗号は前者の類に属する。前者に属するものの代表的なものはドイツの
>エニグマ暗号機がある。後者の代表的なものはM-209、ベルナム方式を利用した
>ドイツのジーメンス社製D暗号機がある。
(中略)
>多段式の置換を利用する換字暗号は電気配線によって比較的容易に作られる。
>エニグマのような鼓胴式では、(中略) ところが別項で述べたように鼓胴式はその置換表に
>斜行特性がでてくる。この斜行特性を全くなくするため、各段毎に全く無関係な
>置換25個宛てを1段として4段(全部で100個)設けたものがこの暗号機で、
>各段の置換の変換は26個のスイッチに一斉切り替えによるものであった。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/03 00:02, (挿絵を文字で表現してみました)
打鍵(原字)−A−Ri−Sj−Tk−Ul−B−印字(暗字)
A、B:プラッグの差し替えによる置換(規約変換)
Ri、Sj、Tk、Ul:ロータリー・スイッチ(固定配線)、i@`j@`k@`l=各25通りの置換
>したがって総周期は25^4=390@`625、小周期は25^3=15@`625(Uは手動だから)
(中略)
>外務省が使用した97式欧文印字機では、Aは実際には存在しなかった。
>またRSTの回転は順序を規正できるように工夫されていたが、実際の使用に当たっては
>R25からR1に戻るときにSが1行進み、(中略)ちょうど25進法のナンバーリングと同じ回転方式である
>海軍武官用のものはUもTと連動するようになっていた。
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/03 00:04, >この暗号の解読された主原因は機械の設計よりも、その使用法の不良によるものと思われる。
>(1)当初規約更新期間が長かったこと。(後では手遅れ)
>(2)変更輪開始位置の選定が不良であったこと。
>(3)一通の長さが長すぎたこと(分割して送るべきだ)
>(4)その他不用意に対照資料を与えたこと等
>機械の設計上も今後さらに参考とすべき点は少なくない。
>(1)膨大な使用量に対しては大周期を考えること。
>(2)規約部分を多くし、手軽にセットできるようにすること。
>(3)暗号の心臓部(変更輪)を固定配線としないこと。
>(4)回転方式を不規則とすること等。
おしまい。(4つ目の資料は英文なのでしばらくしてからUPします) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/03 23:37, 資料4."Machine Cryptography and Modern Cryptanalysis"@` C. A. Deavours@` L. Kruh
ARTECH HOUSE、1985年、p211〜
"Chapter VI: Rainbow Rhapsody: Orange@` Red@` Green@` Purple@` Jade and Coral"
ロータリー・ラインスイッチ(米国名Stepping switches@` Steppers@` Uniselectors)利用の暗号機を
3種類報告しています。
<PURPLE>
・日本名は”Angooki taipu B”(暗号機 タイプB?)
・1939年3月に東京-モスクワ間で使用されたのを米国が初めて掴む
・東京-ワシントン、東京-ベルリン間の外交通信で主に使用
・暗号化回路は、
(1)26英字の打鍵部(REDと同じ)
(2)プラグボード1(REDと同じ)
プラグボード出側は20字と6字の2群に振り分けられる
(3)20文字分は20字x25多表のロータリー・ラインスイッチを3段分通過する
(4)他方6文字分は(3)と平行して6字x25多表のスイッチを1段分通過する
(5)プラグボード2の入側で20文字と6文字が一緒になる
(6)印字部(REDと同じ)
・3段のロータリー・ラインスイッチは高速、中速、低速の組合わせが6通り選択可能。
・ロータリー・ラインスイッチ単品の俯瞰写真に「米国解読者が見た唯一の部品」とコメント
・同じく回転軸からとった写真に「Selector Switch(20s) from original PURPLE〜」
(写真で見えるスイッチ端子は確かに20個だが、残り6個がフレームに隠れているのではないか?
多表の組み合わせ機構が前述資料と真っ向から食い違うのが悩みの種。
もしNCMを訪れる事ができたら、端子の数を勘定してみたいです)
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/03 23:37, <CORAL>
・日本名は”97 Roman shiki injiki san gata”(九七式欧文印字機三型?)
・東京-在外海軍武官の通信に1940年から使用開始
・完全解読は1943年の春になってから、太平洋方面のあらゆる海軍情報が流れていたので
その解読はPURPLEと同レベルでMAGIC情報に貢献。
・暗号化回路はPURPLEよりシンプルで、
(1)26英字の打鍵部(REDと同じ)
(2)プラグボード1(REDと同じ)
(3)26文字全てが26字x25多表のロータリー・ラインスイッチを3段分通過する
(4)プラグボード2(REDと同じ)
(5)印字部(REDと同じ)
・3段のロータリー・ラインスイッチは高速、中速、低速の組合わせが6通り選択可能だが
実際に用いたのは3通り
・6+20字の分離換字が無くなったので、やや強度がPURPLEより高まったが、
PURPLE解読で得られた”Crib(あんちょこ?)”が仇となる。
・CORALの捕獲は無し(写真も無し)
("Crib"の良い意訳はありませんか?) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/03 23:38, <JADE>
・日本名は"97 Roman shiki injiki"(九七式欧文印字機?)
・50の"kana"を印字するので、米軍側も特別製のUnderwoodタイプライターで処理
・打鍵部はREDとBLUEの2群に別れており、
RED群は高頻度のカナ24字+( ゚ ) で計25字
BULE群は低頻度のカナ24字+(ー)で計25字、シフトキーと共に打鍵が必要。
シフトキー打鍵は暗号化されずに直接印字部伝わり、インクリボンを青色に切り替えた。
・暗号化回路はCORALと異なり
(1)50(25x2)カナ文字の打鍵部
(2)25文字全てが25字x25多表のロータリー・ラインスイッチを5段分通過する
(3)プラグボード(1個だけ)
(4)印字部
・5段のロータリー・ラインスイッチの内3段はCORALと同等の動きだが、残り2段は手動式(=単文字換字)
・日鍵の変更パターンをPURPLE同様に米軍に見抜かれてしまった。
・カバーを取った写真には”MAZE"の活字が写し込まれていた(JADEの別名?)
またカバー上部写真からは銘板に「九七式印字機」とかろうじて読み取れる。
おしまい
(NCMのJADE展示機に打鍵部、印字部は付いていないのか?
CORALとJADEのネーミングではどちらが「強い」イメージなのか?
加藤正隆氏(本名 釜賀一夫)が昭和19年に見たのはどの機械だろうか?)
,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/07 09:48, ではCRYPTLOGIA Vol.21 No.2(1997)@` Norman Scott著(英軍解読チーム参加者)
"Solving Japanese Naval Ciphers 1943-45"からの抜粋です
「日本海軍暗号解読」(その1)
<JN11>
米英軍がJN11と呼んだ商船用暗号書は、艦隊戦略常務用暗号書D(JN25)と
形式は同じだがシンプルであった。
これは商船隊通信員の訓練が軍艦並には実施できなかった為である。JN11は、
・4桁数字のcode、破壊防止のため3で割ると1余る数字を採用。
・4桁の乱数字が記載された乱数表は3冊構成
・乱数表は100頁で00〜99の見出しが付いており、各頁に10行10列で100個の乱数。
よって計30@`000個の乱数が利用可能
・例えば1冊目23頁の1行2列目を開始位置(1-2301)に選ぶと、codeから乱数を繰り下がり無しで
引算して得られたenciphered codeを得て、これを秘匿処理した開始位置に続いて送信した。
傍受したJN11の縦列区分する際に役立ったのがplain-codeの3で割ると1が余る特徴だった。
つまり0000-9999までの内で1/3だけがcodeに採用されているので、乱数剥ぎ取り後に
それ以外のcodeが出てきた場合は縦列区分(仮説)が誤っていると英軍側は判断できたのだ。 ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/07 09:49, 通信員は乱数開始位置を任意の位置から選べるのだが、Bletchley Parkの英軍解読チームは
通信員が乱数表見開きの右頁側から偏って使用している事を発見した。
(右利きの通信員は左手側で乱数表の本を押さえ、右手側にペンとワークシートが来ると
自然と目線が右側に来るためだと思われる)
さらに半分以上の暗号文が乱数表の第1冊を用いていた。
また傍受した暗号文code数が100個を超える事もまれだった。
これも乱数表の頁をめくる動作を嫌った通信員の習慣によるものだが、
その結果多くの暗号文が乱数表第1冊の見開き右頁の先頭行付近である
1-**00@`1-**01@`1-**10@`1-**11(**は偶数頁?)で開始されていた。
小樽港の海軍士官が毎回発信した定型通信文もJN11解読作業を助けた。
1944年半ばにJN11の更新(テ1・ラ1→テ2・ラ2)が行われた。
乱数表とcodebookを同時に更新したのだが、やはり一斉更新は実施できなかった。
ここでも新旧双方の暗号文が発信され、英軍側は容易に追従できた。
(なぜ「商船隊通信員の暗号訓練は十分に出来なかった」のでしょうか?
「民間人には高度な暗号は無理だ」と最初から決め付けていたら嫌ですね
名著「海上護衛戦」では暗号面については殆ど触れていません。残念) ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/07 09:50, 「日本海軍暗号解読」(その2)
<JN40>
JN40は商船で用いられていた2重転置式cipherだった。
・カナ文字のみを使用
・転置鍵は毎日更新
・転置矩形の幅も毎日11〜17列の範囲で変更
・約10%の冗字を挿入
Ceylon(現Sri Lanka)のColomboにあるAnderson基地では、
商船が送信した潜水艦発見報告と思われる短いJN40暗号文を毎朝選び出し
文頭仮定語である「テキセンスイカン」を頼りに転置矩形を探り出していた。
転置鍵は毎朝Colombo(英)とPearl Harbar(米)が競って解読し、昼前には勝負がついた。
(>37の資料ではJN40は商船用カナ4文字codeと記載されてました。どちらが正しいのか?
当時現役だった人の文章は説得力がありますが、著者の記憶違いかもしれません)
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Dr. Merle A. Tuve,sage,02/04/07 09:50, 「日本海軍暗号解読」(その3/完)
<JN25>
1945年半ば、JN25のcodebookは別表にて乱数使用開始位置を定め、開始位置の均等化していた。
しかし更新されたcodebookには重大な欠陥があった。
以前のJN25は「3で割り切れる」5桁の数字をplain-codeに採用していたが、新しいJN25は
何故か「0の数字」がplain-code使用されていなかった。
乱数表側が既知となると、「0」が無い特徴を利用した消去法で乱数開始位置を手作業で探した。
例えばenciphered-codeが74509であれば1桁目が3である乱数は棄却される訳である
この方法は統計機を用いた探索よりもかなり速かった。
この頃になるとJN25は毎日解読が追従出来るようになっていたのだ。
おしまい
(「戦争末期のJN25では数字の0が使用されていなかった」の欠陥情報は私にとって初耳です。
codebookとしては非常に危険なので私は何かの間違いだと思うのですが) ,
名無し三等兵,sage,02/04/16 07:56, 保守 ,
名無し三等兵,sage,02/04/20 08:09, 保守 ,
名無し三等兵,sage,02/04/25 13:22, 保守 ,
名無し三等兵,sage,02/04/29 03:53, 保守 ,
名無し三等兵,age,02/04/30 11:34, age ,
Dr. Merle A. Tuve,sage,02/05/02 00:05, >各位 既出かも知れませんが…
「帝國海軍への鎮魂頌」
www2u.biglobe.ne.jp/~taro/index.htm
>新版 「機密第一三一七五五番電傍受解讀の眞實」(内容を一部改訂 2002/04/13改)
>山本五十六聨合艦隊司令長官邀撃に繋がった 暗號電報解讀の眞相を解き明かす。
(「死の電報」が解読されたのは、「JN-25D」よりも強度の低い「海軍暗號書多」で再電されたのが
原因だとの事ですが、相手局に請われて、そう簡単に別暗号で再電できる物なのか?
それにしても痺れるほど濃い内容ですね。) ,
名無し三等兵,sage,02/05/08 02:01, 保守 ,
名無し三等兵,sage,02/05/16 13:07, 保守 ,
名無し三等兵,,02/05/19 06:42, 良スレage ,